第27話 生き残り!
ブラジル全土の麻薬組織の拠点を壊滅させたシンたち。しかし、彼らの行動は国内外でさらなる波紋を広げていた。その中でも、ブラジル最大の麻薬組織「PCC(Primeiro Comando da Capital)」との対決は、全く新たな局面を迎えようとしていた。
PCCは世界的に見ても最大規模の犯罪組織の一つであり、その凶悪さと影響力の広さは他の組織を凌駕する。ブラジルの27州中22州に勢力を持つだけでなく、ボリビア、パラグアイ、コロンビアといった南米諸国にも活動範囲を広げている。参加人数は3万人を超え、犯罪の種類も多岐にわたる。
主に麻薬密売、強盗、誘拐、刑務所での反乱を中心に活動し、巨大なスラム街を完全に支配する。その支配力は地域住民にとって警察よりも頼りになるとまで言われるほどで、警察や一部の公的機関と結託しているケースも珍しくない。
ブラジルでのシンたちの徹底的な攻撃により、麻薬組織の拠点は次々と壊滅していった。しかし、PCC幹部の一人であるガブリエル・ド・ナシメントは、その時パラグアイの拠点に滞在しており、辛くも命拾いをした。「幸運」とも言えるこの状況を前に、彼はただ震えるだけではなかった。
「何者かは知らないが。だが、PCCの本当の恐ろしさを知らない。」
ガブリエルはすぐさま行動に移り、指導部と連絡を取るための手段を講じた。しかし、指示を出しているPCCの上層部の多くは刑務所内にいるため、迅速な対応には限界があった。
シンの決断:PCC指導部の抹殺
シンたちはPCCの実態をすぐに把握した。刑務所の中にいる上層部が組織をコントロールしていることを知り、その存在が組織の根幹であると判断した。
「刑務所にいる上層部を始末する。それが奴らを完全に崩壊させる最短の道だ。」
シンの言葉に、仲間たちも同意する。
しかし、シンたちは単なる破壊だけでは終わらせない。彼らの目的は単純な壊滅ではなく、PCCのような犯罪組織が再び立ち上がれないようにすることだった。
PCCと地域住民の関係
PCCがこれほどまでに影響力を持つ理由の一つは、地域住民との密接な関係にある。貧困層が多い地域では、PCCは事実上の社会的インフラとなっており、食料や医療、治安維持といった生活の基盤を提供していた。
「PCCが無くなれば、その空白はどう埋めるの?」
エルザが鋭く問いかけた。
「俺たちが空白を埋めるわけじゃない。」
シンは冷徹に答える。しかし、ヤシャスィーンが静かに反論した。
「空白が埋まらなければ~、PCCのような組織が~再び生まれるだけ。それを防ぐのも私たちの責任よ~。」
その言葉に全員が考え込んだ。PCCは単なる犯罪組織ではなく、貧困や社会の不平等が生み出した結果であることを理解していた。
刑務所内に収容されている6,000人もの構成員が、今なお組織の一部として機能しているためだ。この現実を前に、シンたちは新たな計画を立てた。それは――「洗脳」だった。
「破壊だけでは不十分だ。」
シンは静かに言葉を紡いだ。
「6,000人もの構成員をただ排除するだけでは、必ず次の犯罪者が現れる。徹底的に恐怖を叩き込み、洗脳し、秩序を植え付ける。それこそが真の壊滅だ。」
シンの言葉に、ジャネットとダミルィ―の目が輝いた。
「いいじゃない、それ。長年やりたかった実験ができるわ!」
ジャネットは声を弾ませる。
「6,000人のモルモットだなんて、夢みたいですわ。」
ダミルィ―も興奮を隠しきれない様子だった。彼女たちにとって、この状況は単なる任務を超えた「実験場」であった。
PCCの幹部ガブリエル・ド・ナシメントも、この計画の一環として重要な役割を担うことになった。
彼は一時的に命を拾ったが、シンたちは彼をただの人として扱うつもりはなかった。
「ガブリエルを徹底的に叩きのめし、恐怖の象徴に仕立て上げる。骨の髄まで恐れさせ、洗脳した上で、奴自身に他の構成員を管理させる。」
シンの冷徹な計画が練られる中、ガブリエルは気づかぬままその餌食となっていった。
「ほら、もっと恐れなさい。あなたがその恐怖を刻み込めば、6000人全員が従うようになるわ。」
ジャネットが低く囁きかけるたびに、ガブリエルの心は崩壊の一途を辿った。
「~♪新しい薬剤、作ってみたの。一部分だけを膨張させるのよ」
とても楽しそうに話しかける。
「も、もうやめてください!し、したがいます!…ンギギあ゛じがぁぁ…!」
ガブリエル・ド・ナシメントの両脚、両腕が破裂する。
「大丈夫よ欠損しても蘇生するから」
「……」
涙、鼻水、涎で顔がぐちゃぐちゃになってるガブリエル・ド・ナシメント
彼は知らないまだまだ序の口だと。
一方で、ダミルィ―は独自の方法でガブリエルの身体に「痛み」「恐怖」を刻み込んでいった。神経を直に刺激する拷問は、彼の身体と精神の両方を支配するためのものであった。
「イイ゛イ゛イイァア゛ギぎ」
「なかなか反応ね…次は…脳に刺激を与えてみようかしら!」
生き生きとしているダミルィ―。
「アア゛ィ]\;.。;、v@f^¥?1dッ…」
「あッ、…あっぶねぇ~…あらやだ、私ったら汚い言葉を…生きてるわよ…ね?」
危うく脳細胞を破壊するとこだったダミルィ―。
刑務所内部の洗脳計画
刑務所に収容されている6,000人ものPCC構成員を洗脳するため、シンたちは高度なテクノロジーと心理操作を駆使した。
超音波洗脳装置
刑務所全体に設置された装置は、特定の周波数で囚人たちの脳に信号を送り込む。これにより、囚人たちは無意識のうちに恐怖と服従の感情を植え付けられていく。
恐怖の実演
ガブリエルを見せしめに使い、恐怖を目に見える形で伝える。「従わなければどうなるか」を囚人たちに体感させることで、逆らう気力を奪った。
個別洗脳セッション
特に影響力のある囚人たちは、個別に洗脳セッションを受けた。ジャネットとダミルィ―による直接的な「調整」が行われ、従順な「新しい構成員」に作り変えられていく。
一方で、PCCの上層部にあたるメンバーには容赦はなかった。
「上層部は存在そのものが害悪だ。死んでもらうのが最善だ。」
シンの指示のもと、上層部メンバーは次々と暗殺されていった。彼らの死は慎重に隠蔽され、他の囚人たちには「反抗して処分された」というメッセージだけが伝えられた。
刑務所内の全員が恐怖と洗脳によって支配された時、シンたちは次の段階に移った。
「これからはPCCではなく、秩序を維持するための組織を作る。」
シンは囚人たちに新しい規律を教え込み、彼らを利用して地域の治安維持を図る計画を進めた。
ガブリエル・ド・ナシメントは完全に洗脳され、新組織の「名目上のリーダー」に据えられた。彼の存在は、囚人たちにとって恐怖の象徴であり、逆らうことの愚かさを思い知らせるための道具であった。
PCCは事実上の壊滅を迎えたが、それは単なる終焉ではなく、新たな秩序の始まりでもあった。
恐怖と洗脳による統治が完成した。
義海賊シン・バークレーとホムンクルス娘たち @kotuponn
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