第2話

~出雲編~

ヤマタノオロチ退治

岩戸開き騒動の発端となったスサノオは罰として財産没収と髭と手足の爪を抜かれ、高天原から追放されました。追放されたスサノオは出雲に降り立ちます。しばらく、歩いていると老夫婦が泣いていました。「私の名はアシナヅチ、妻はテナヅチ、そして娘の名はクシナダヒメとじゃ」「どうして泣いているのだ?」「私には八人の娘がおりましたが、毎年ヤマタノオロチという怪物に一人ずつ食べられてしまいました。そして今年もその時期が来てしまったのじゃ 」「ほう、その怪物はどんな姿形をしているのだ?」「ヤマタノオロチは真っ赤な目に、頭が八つ、山のように巨大な蛇じゃ」「・・・」「ではその娘を俺にくれるなら、ヤマタノオロチから助けてやろう!」「わっ分かりました。よろしくお願いします」こうして、スサノオは結婚を条件にヤマタノオロチ討伐を約束。スサノオはクシナダヒメを守るため、櫛に変化させて、髪のなかに差し込みます。大きなお酒の入った甕を八つ用意。とうとうヤマタノオロチがやってきました。スサノオたちは隠れて様子をします。ヤマタノオロチは警戒することなく、甕のなかのお酒を飲み干します。なんとスサノオの読み通り、ヤマタノオロチは完全に酔いつぶれてしまいました。スサノオはトツカノツルギで動くことのできないヤマタノオロチの体を切り裂いていきます。切り裂かれたヤマタノオロチの尾から、不思議な霊力を宿した太刀草薙の剣が出てきました。その後、スサノオは高天原に向かい、《草薙の剣》をアマテラスへ献上。スサノオは高天が原には残らず、宮を作るため再び出雲に降り立ちます。出雲の人々と協力して宮を完成させました。宮が完成したときにスサノオは「やくも立つ いずもやえがき つまごみに やえがき作る そのやえがきを」と歌を詠みました。 こうして、出雲の歴史が始まったのです。


因幡の白兎

スサノオの六代目の子孫にオオナムヂ(後の大国主)がいました。スサノオの子孫はたくさんおり、みな、因幡のヤガミヒメに求婚しようとしていました。オオナムヂは荷物持ちとして、後から兄弟たちに同行。道中、傷だらけの兎に遭遇します。「おやおや、ウサギさん、その傷はどうしたのですか?」「実はワニたちをだまして、整列させ、その背に乗って島を渡ろうとしたところ、皮をはがされてしました。そして、意地悪なあなたの兄弟たちが『お前は塩水で体を洗い、高い山に登るといいぞ』とボ僕をだましたのです。その嘘のせいで僕の躰は傷だらけです」大変かわいそうに思ったオオナムヂは「今すぐ川の真水で躰を洗い、蒲を敷して、そのうえで寝なさい」と助言をします。言われた通りにすると兎の躰はすぐに良くなりました。「ありがとうございます。貴方様なら、ヤガミヒメと結婚することができるでしょう」と予言する兎。なんとその後、ウサギの言葉通りオオナムヂはヤガミヒメと結婚することができたのでした。


スサノオからの試練

ヤガミヒメと結婚したことにより、オオナムヂは兄弟から疎まれ、二度命を奪われます。オオナムヂの母・サシクニワカヒメは二度生き返らせました。サシクニワカヒメは「紀の国からスサノオのいるネノカタスクニへ行きなさい」と言って、オオナムヂを出雲から逃がしました。スサノオのいるネノカタスクニへ行くとスセリビメとお互い意気投合し、その場で結婚しました。スサノオは二人の婚姻を許さず、オオナムヂに試練を与えます。オオナムヂは蛇の出る部屋やムカデと蜂がでる部屋に入れられたり、燃え盛る野のなかから矢の探索やスサノオの髪の毛にいる大量のムカデの掃除を命じられたりしました。オオナムヂはスセリビメの助けもあって、全ての試練を乗り越えました。それでも結婚を許してもらえなかったのでオオナムヂはスセリビメと共にスサノオから太刀と弓を盗んで、ネノカタスクニから逃げ出します。二人に追いつくことができないスサノオは「その太刀と弓で兄弟を倒し、大国の主となれ」と言いました。地上に戻ったオオナムヂは兄弟たちを成敗し、出雲を統治しました。


大国主の国造り

オオクニヌシは子孫を残すために、多くの女神と婚姻関係を結びました。アジスキタカヒコネやシタテルヒメ、コトシロヌシなどをたくさんの子供を設けました。ある日、タカミムスビの子・スクナビコナが葉っぱに乗って海から出雲にやってきました。オオクニヌシはスクナビコナと共に本格的に国造りを始めます。スクナビコナの躰は小さかったですが、医療や酒造の知識を人々に与えて、国造りを手伝いました。頼もしいスクナビコナでしたが、常世の国へ帰ることになります。「一人で国づくりなどできるだろうか?」オオクニヌシが嘆いていると、海の方から光り輝く一人の神様がやってきて言いました。「わしの名はオオモノヌシ、大和の三輪山にわしを祀るなら、国づくりを手伝ってやろう」「それは有り難い!約束しましょう!」こうしてオオモノヌシと一緒に国造りを進めました。


国譲り

オオクニヌシのおかげで、出雲国はおおいに栄えました。高天原の統治者アマテラスは繁栄した出雲を眺め、支配することを決めます。三度使者を出雲に送り込みますが、上手く事が運びません。四度目に剣の神フツヌシと雷の神タケミカヅチを派遣します。剣を波打ち際に刺し、その上に座る二柱の神。「この国を我ら天津神に譲れ!!」「わかりました、出雲の統治をお願いします」とオオクニヌシもその子供コトシロヌシも争いを好まなかったため、出雲を明け渡します。出雲の国譲りに反対したタケミナカタはタケミカヅチと力比べをしますが完敗。信濃の諏訪へ逃げていきました。従わない全ての国津神、草木や石に至るまで服従させました。唯一逆らったのは星の神カカセオ。天津神側はタケハツチを使わしてカカセオを倒しました。こうして完全に出雲は天津神によって平定されました。


天孫降臨

平定した出雲の統治者にはニニギノミコトが選ばれました。ニニギはアマテラスからヤサカニノマガタマとクサナギノツルギ、そして「私の御霊として祀りなさい」と命じられて鏡が渡されました。三種の神器を授かったニニギはアメノコヤネ、フトダマ、アメノウズメ、イシコリドメ、タマノオヤと共に地上へ向かいます。その他にも多くの神がニニギのために同行しました。アメノウズメが呼びかけると、地上への道の途中に異形の神が現れます。「私は国津神のサルタヒコ。皆様を地上へ案内しましょう」サルタヒコの案内で雲をかき分けながら地上の高千穂に降り立ちます。ニニギたちは降り立った地に大きな宮を建てて地上の統治を始めました。







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