第四話『覚醒のM14』
未知との遭遇の翌日。
鷲田クリニックに隣接する大
「で、
「ほぉ、おもろいな…………。待ってくれ、それや!
と、ここ一番のピンとした背筋の伸びで、勢いよく立ち上がって、そう叫んだ。
その立ち姿は、現役時代の彼を思い出させるほどの若々しさ。
「ど、どういうこと?」
「
「あーっ! なるほどぉ! 出場者を全員、同時に審査できるっ!」
「そういうことや。審査員全員に、コキ
「ちなみに、そのよくわからない手術を受けてくれる物好きな審査員が、どこにいるのかっていう問題があるけど……」
「ここにいるやろ! ほら! ほら!」
「おーっ! おーっ!
「当たり前や! ワシが
「よし、了解! いざ、緊急オペ!」
——即時、四次元時空間を俯瞰するための脳外科手術が、イキイキとする
***
手術は、完璧に近い形で成功した。
二人は再び、
「なんやろ、脳みそがウズウズしとるわ、というか、
「そりゃあもう、番組の製作陣も、芸能人たちも、お茶の間も、みーんな
「そうか? あ、てか、そんなんコキ
「確かに。じゃあ、早速、未来を俯瞰、してもろて」
「…………見えるぞぉ! 見えるぞぉ!」
「
「…………ん?」
「
「おい、待、て、よ……ワシ、芸能界に復帰して
「ちょっとー、毎年楽しみにしてるから、ネタバレは厳禁! でもそれ、どういうことか、な? イッポン足エイリアンは、俯瞰の能力に期間の縛りがあるとかは、言っていなかったような……」
「待てぇ……待てぇ……待ってくれよ!?!?
そこで、
「……
「ワシ、やっぱり、復帰やめるわ……」
「えっ!? せっかく現役さながらの天才的な妙案に辿り着いたのに? なんで? なんでや!
「未来が見えへんっていうのは……寿命や。寿命が来るってことや。芸能人生って意味でなく、生物としての寿命や。人は結局、遅かれ早かれ、色んな意味で、消えるんや……」
「えっ、
「せやから、芸能界にしがみつくんはやめて、もっとプライベートを大事にして、残り二年、過ごすのが良さそうや。あー、なんか色々悟ってきたわぁ。ワシがずっと生意気や思うとった若造が、『
「そ、そっか。
「せやなぁ、そうかもなぁ。ええこと言ってくれるやんけ、コキ
「ん、どうした?」
「ワシ、顔、整形してもらおかな。いや、もはや全身肉体改造、とか! 別人や! 最後は真っ新な自分で生きたいかもやわ!」
「なるほど……じゃあ、もう一回、行っとく? 鷲田クリニック」
「イエス! 鷲田クリニック!」
それに、姿を変えた彼が、あなたの近くにいるかもしれない。
いや、彼は再び、選択を変えるかもしれない。
彼の未来は、四次元
〈完〉
覚醒のM1-四次元時空間俯瞰的審査- 加賀倉 創作【書く精】 @sousakukagakura
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