第三話『IPPON足エイリアン』
肌寒い朝。
「ヘーックションッ!!」
M14ライフルを構える
鷲田クリニックの総員は、謎の生物騒動のせいで疲弊。今や、止まらない寒気、震え、クシャミとの戦いとなっている。
というのも……
ようやく、謎の生物が
「ゼェ、ゼェ、ゼェ……貴様、今まで動きが速すぎてわからなかったが……ゼェ、ゼェ……そんな見た目をしていたのか」
まるで、すね毛の多い人間の片足が、
「ああ、シンプルなビジュアルだろう? 自慢の
イッポン足の生物は、意外にも、普通に日本語で会話している。
「うるさい! 観念しろ!」
\バンッ!/
\コキッ/
\バンッ!/
\コキッ/
\バンッ!/
\コキッ/
\バンッ!/
\コキッ/
\ヒュッ!/
\ヒュッ!/
\ヒュッ!/
\ヒュッ!/
イッポン足の生物は、まるで全てを予知しているかのように、弾をかわしてしまう。
「敵意はない。
イッポン足の生物は、意味不明な申し出をする。
「武器ぃ? 何のための武器だ? 武器なら、ここに立派なM14ライフルがあるが? 未来は見えても目は見えないってか? ほらよっ!」
\バンッ!/
不意打ち。
\ヒュッ!/
回避。
「それよりもずっと強力な武器だ」
「何? 爆弾でも寄越すって言うのか?」
「いいや……」
するとイッポン足の生物は、氷上のスケート選手のように、イッポン足爪先立ちで、くるくると自転し始め……
「おいっ! なんだよ気持ち悪い!」
「気持ち悪くなど、ない。それを使えば、現在過去未来、全てを
「はぁ!?!? なんだ? おちょくった挙句、今度は詐欺か? タイムマシンを売りつけてきやがった!」
「タイムマシンとは、ちょっと違う……」
「違うって、何が?」
「我は、あなたたちの住む四次元
「ほぉ、なるほど……そう言えば、そんな話が出てくるSF映画があったような……」
「『メッセージ』だな。監督はドゥニ・ヴィルヌーヴ。劇中、地球に飛来する宇宙船の愛称は、
「ああ、それだ! まぁ、映画に出てきた宇宙人は
「ちなみに我があなたの銃撃を全てかわせるのは、未来を知っているからだ。今度は過去を見てやろうか? あなたのM14ライフルを持つその腕、そして白衣が張り付いて浮かび上がった胸筋、腹筋、背筋。一見ムキムキだが、それらは整形手術によって得たものだな? 二〇〇八年という年代に、あなたはダビデ像とかいうムキムキマッチョマン彫刻をモチーフにして、筋肉増強手術を行なった。ここ、鷲田クリニックの最先端設備を駆使して! それにあなたは、他にも顔面の整形手術など、様々に
「全部……正解だ。本当に、未来だけでなく、過去までも!?」
「そうだとも。わかってもらえて、よかったよ」
「でも、使うって、どう?」
「我の毛の細胞を、脳に組込むといい。そうすれば過去現在未来を俯瞰的に認知可能な超人の完成だ。あなたの外科手術の腕は、確かなはず、技術的には可能だろう?」
「まぁ、なんとか、できそうではある。で、超人を作るのはいいとして、何のためにするんだ? 俺に、人類にメリットはあるのか?」
「ああ、あるとも。目的は、近いうちに
「ある人物? とある閃き?」
「そうだ。そして予言しよう。これはその人物と閃きを
「わ、わかった。よくわからないが、とにかく、時間を俯瞰する超人を、作ってみることにしよう!」
「その意気だ。まぁ、そう言うとわかってはいたが……」
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