第二話『M1』
——
それは、
今、
とある男というのは……
——
彼は、一世を
画面上には、
だが今、彼が座って、いや、寝転がっているのは、自宅のソファベッド。
——番組が、
例年進行役を務める女優、
〈気になる優勝者の発表は…………〉
毎年恒例、お決まりの文言。
〈今年も……〉
次に来るオチはわかりきっている。
〈CMの後です!〉
出演者一同ズッコケ、CMへ。
——画面上には、番組スポンサー企業のCMが流れ始める。
「うーん、なんだかなぁ……」
それもそのはず、実は今大会では、前代未聞の現象が起こったのだ。
ファイナリスト十組による決勝では、トップバッターの"クリス・ホワイト"が、審査員七人全会一致の99点、合計得点693点で素晴らしい滑り出しを切った。その時審査員の一人、
【個人的には百点満点をあげたいが、後ろにまだ九組も控えているので、99が限界だ】
ここまでは、まだいい。問題は、最後に披露した十組目"時空アンジョリーナ"の審査時に起きた。なんと、全会一致の……100点、満点。合計得点700点。そして審査員
【"時空アンジェリーナ"は"クリス・ホワイト"と同じく満点にふさわしいモノマネだった。だから100点をつけた】
もちろん、そのコメントのあと、司会の
これは、
とはいえ幸い、大会の進行に支障はなかった。というのも、今大会は多段階方式、決勝の上位三組が
——テレビの画面上では、相変わらずCMが流れ続けている。
〈幹細胞治療なら〜?〉
\ワ・シ・ダ! クーリニック!/
やけに耳に残る音。
「にしても
「ゴニョゴニョ……そもそもやで?
——テレビ画面は、いつの間にか、紙吹雪でいっぱいになっている。
優勝 クリス・ホワイト のテロップ。
「あ、もう結果出てたん。勝ったん、クリス・ホワイトか。でも俺も、あいつらのモノマネやったら
彼は、自身が"M1審査論"に熱を上げるあまり、感動の
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