覚醒のM1-四次元時空間俯瞰的審査-

加賀倉 創作【書く精】

第一話『炎上! 鷲田クリニック』

 冬の


 とある巨大クリニック。


 建物の外壁最上部にかかる看板には、横書きの、「鷲田わしだクリニック」の文字。


 看板のど真ん中に……


 ヒュゥウと、一つの火球かきゅう


 看板を建物の壁ごと大貫通。



——大炎上。



 一帯には、ジリリと、非常ベルが鳴り響き、天井のスプリンクラーが、プシュウと、散水。


「なっ……なんだ! あの飛び跳ね回るニョロニョロ生物は!!」


 鷲田クリニックの院長、鷲田克己わしだかつみが、謎の生物を、しずくしたたる指で差して、そう叫んだ。


 生物の外見の特徴は、その動きが速すぎるあまり、ニョロニョロとしたものであるということ以外には、認められない。


 鷲田克己わしだかつみ含め、院内の人々は、ずぶ濡れの白衣を体にペタリと張り付けながら、右往左往うおうさおうあわてふためく。


「こりゃあまずいぞ! M14だ! M14を持ってこい!」


 鷲田克己わしだかつみが、部下らしき者にそう指示する。


「M14? 院長なんですかそれ? モノマネグランプリですか?」


 部下は大真面目に、そう答える。


「違ーう! M14エムイチヨン、ライフルだ!!」


 鷲田克己わしだかつみが地団駄を踏み、バシャバシャと水が跳ねる。


 騒ぎは、夜通し続いた。

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