第2話「ライバルの登場」
俺は【骸骨熱闘鬼ヒートオーガ】とのバトルの末で実戦経験を積んだ。それをこれからのカードバトルで活かしていきたいと思う。
そして俺が【エルシオン王国】から旅に出る話を両親から聞かされた。それは俺だけの力で生活を送ると言った内容である。それを俺はこの先で送らなくへはいけないことに対してワクワク感が生じているのは紛れもなく事実だった。まだ七歳と言う年齢だが、ご近所に住む地宮緑葉と天門光太郎の三人で協力して旅するみたいだ。
「夜彦はどんな切り札を入手したんだ? 俺にも見せろよ!」
「これだよ。汚さないでね?」
そうやって俺が自分の切り札でもある【骸骨熱闘鬼ヒートオーガ】を光太郎に見せた。すると、彼から返って来たリアクションはかなり興奮しているような反応である。そして俺の切り札が緑葉にも渡ると、そこで二人の奴も見せてもらった。
「私のは【大地新竜アースガイア】だよ。これは召喚時に相手のソルジャーを一枚だけ山札に加えてシャッフルさせる効果あるんだ。さらに自分がソルジャーをバトルフィールドに出した時にはソウルゲージを二ポイント溜めることが出来るんだよ?」
「へぇ? それは凄いや!」
「それなら俺のだって凄いぜ? 俺のは【天霊竜騎ヘブンズキング】だ。これはバトルフィールドに存在する輝素の数だけコストを一ポイント減らしてくれる。そしてなんと言っても輝素はすべて【ガーディアン】を得るんだ」
「つまり、こちらの攻撃を代わりに受けてくれるんだな? それじゃあ絶対に攻撃が届かないかも知れない」
光太郎の切り札は基本的に防御面で優れているカードだ。しかし、俺の切り札なら高確率で相手の手札を除去できることから、召喚前に破壊してしまえれば、それだけでこちらのピンチも軽減されるだろう。けれど、それが外れた瞬間に俺の攻撃は通じないことは、分かっている通りだった。
それと緑葉の場合は、相手の除去が出来るため、光太郎が持つ切り札を直接取り除ける効果がある。それも相手のパワー五千以下のソルジャーは攻撃できないところが、彼女の切り札が誇る最大の見せ場だった。
事前に破壊してしまう俺の切り札も強いけれど、使い方によっては二人のソルジャーも有効なのは分かった通りだ。他のカードを見せ合ったが、そこで判明したお互いの切り札をサポートするソウルギアとソルジャーの存在がとてもこの先の対戦で侮れないことを示すのだった。
「やばくないか? 夜彦の準切り札は墓地の枚数以下のコストを持つソルジャーをバトルフィールドに出せるみたいだな? 墓地に関するコンボが出来そうだ」
そんな風に俺の準切り札を見た光太郎が呟くと、そこで緑葉が俺とバトルしたいと言い出す。それを聞いた光太郎はそれに賛成するけれど、対戦は一対一でしか出来ないので、一人だけ余ってしまうことになるところがあるのだった。
「それじゃあじゃんけんだな? これで公平に決めよう。後はもう一戦をこの三人から一人が担えば良いよ」
「そうだな? それじゃあ早速決めるか?」
そうやって俺たちはじゃんけんで始めの対戦相手を決めた。その結果は俺と緑葉が対戦することになる。先攻は俺からみたいだが、それでも光太郎は文句を吐かなかった。
「では、バトルを開始する! 審判は俺がやるから、二人はデッキをセットしろよな!」
そんな風にして始まったカードバトル。これから俺が相手をするのは緑葉だ。彼女は紅素と緑素を扱ったデッキみたいで、ソウルゲージの速攻チャージと相手のソルジャーを除去させることに特化しているカードを揃えていた。つまり、俺は緑葉からソルジャーが除去されないようにする必要がある。しかし、こちらは墓地を扱った戦略が得意で、俺としても相手のソルジャーの除去は可能だった。さらに俺は墓地の数だけコストが軽減できたりもするので速攻で終わらせることを意識するのが大事だと両親から教わっている。
「それじゃあ私の先攻から始めるよ? それでも良いよね?」
「別に構わないよ。俺はどっちでも良いぜ」
「私のターン! ソウルギアをチャージして四ポイントを消費するよ! それで【四葉妖精フェアリーリズム】をバトルフィールドに出すわ! これで私のソウルゲージは毎ターン手札を破壊することで三ポイントのチャージが出来るの。私はターンエンドだよ?」
(ソウルゲージを即座に溜める戦術か? やはり緑素の戦術はお母さんも使ってから少しは分かるつもりだ。しかし、それは手札がないと効果が発動しない。なら、手札を削ってソウルゲージをチャージさせない戦術で行こう!)
そうと決めた俺は自分のターンが来ると、まずはソウルゲージをチャージして低コストのソルジャーをバトルフィールドに出すことにした。それも相手の手札を削る効果を持つソルジャーの召喚で、緑葉の戦術を妨害する作戦に出る。
「俺は五ポイントを消費して【魔骨呪霊ロストコール】を召喚する! このソルジャーは山札の上から三枚を墓地に置くことで、相手の手札を一枚だけ破壊できる!」
「くそっ! 手札を削ってソウルゲージを溜める邪魔を狙っているのね? しかし、甘いわ! これでも手札切れは想定済みよ! だから、どんなに手札が削られても大丈夫なんだから!」
「マジで言ってるのか?」
「どうやら緑葉が有利みたいだね? けど、これで夜彦は墓地が溜まったよ? それが意味するのは墓地を活かしたコスト軽減の戦術を忘れない方が良い」
「そうね? しかし、先手は頂くわ!」
そうやって緑葉のターンが来る。そこで彼女はソウルギアをチャージしてから、前のターンに出した【四葉妖精フェアリーリズム】の効果を発動させた。
「私はこのソウルギアを破壊してソウルゲージをチャージするわ! そして九ポイントの消費で【純情妖精ラブリーイノセント】を召喚! このソルジャーの効果でバトルフィールドに出た時に手札が三枚以下だった場合、六枚になるようにカードを引けるのよ!」
「そんなぁ! それじゃあ手札を破壊した意味がないじゃないか!」
「しかし、これでソウルゲージがすべて消費されていることを忘れるな! それだと切り札は出せない!」
「問題ないわ。これでソウルギアの発動条件が揃ったんだもん! だから、これは想定内のルートを辿っていることになるのよ!」
すると、手札をブーストした後はソウルギアを発動させる行動に緑葉は出る。それを実施することで、緑葉の立場はかなりの優勢と言える状況になって行くのだった。
「私は【神秘の泉】を発動するわ! このソウルギアは手札が六枚以上の状況で使えてしまうわ。そこでこのソウルギアの効果で、山札の上から一枚を墓地に置く。さらに墓地のカードがソルジャーだった場合は、それが持つコストの分だけソウルゲージがチャージできるの!」
「凄い! ここで墓地に送られたカードのコストは八ポイントだ! これだと次のターンで六ポイント以上のチャージが出来れば、準切り札が出せてしまう!」
「そうよ! そこからのコンボが私の強みなの。それじゃあ私のターンはエンド」
いきなりここでコンボを決めて来た緑葉は次のターンで準切り札の召喚が可能になったと宣言している。それをどうにか阻止しないと、俺は負ける確率が増えるのは決まっていた。しかし、俺もまだ使ったことがないカードが山のようにあるのだ。それを使ってなんとか勝利に繋げるルートに持ち込めれば、この勝負も俺がもらえる。
「よし! それじゃあこの作戦で行くか!」
俺は決心した。これが召喚できれば、大抵の場合は上手く優勢に持ち込める。なので、俺がソウルゲージを溜めると、そこからの反撃を仕掛けに行くのだった。
「俺は墓地にある枚数分だけコストを一ポイント減らせる効果を発動する! それも【死骨怪鬼デスボーン】をコスト七で召喚! これは山札の上から五枚を墓地に置く。そして墓地に置いたカードから一枚を指定して手札に加える。それから相手は俺が手札に加えたソルジャーのコスト以下に至るカードをすべて破壊する!」
「本当にそんなことが出来るの! 凄い強力じゃない!」
緑葉が思わず驚きの声を上げる。それも俺が召喚したソルジャーは準切り札ではないのだが、それでも除去に優れたカードだと言えるのだった。後はこれから発動させるソウルギアで相手を完全に妨害させる策で勝利から遠ざける作戦を決行する。
「さらに破壊した手札の枚数が五枚以上だった場合、相手はバトルフィールドのソルジャーを選んで破壊しないといけない!」
「それじゃあ私が指定するのは【純情妖精ラブリーイノセント】よ! ここで【四葉妖精フェアリーリズム】だけは破壊させない!」
「それじゃあ俺もソウルギアを発動しようかな? 相手の墓地が五枚以上あることが発動条件だ。これは【死の確定】と言う。これの効果は相手のバトルフィールド上でソルジャーの中でも一番のコストが大きいカードを指定する。そして指定したソルジャーを破壊させる!」
「さすがにやるわね! 完全なる阻止を成功させるなんて思わなかった」
「まぁね!」
そして俺はターンエンドすると、そこで緑葉はカードを一枚引いた。そしてソウルギアをオリジンホールに置くが、すでに手札のカードでは逆転が出来ないと判断した緑葉が再び【四葉妖精フェアリーリズム】を召喚してターンエンドする。
「俺のターンだね? 俺は【死帝骨鬼デッドスカルマン】を召喚! 山札の上から十枚を墓地に置く。そしてと墓地の枚数よりも低いコストを持つソルジャーを手札から一枚だけバトルフィールドに出せる! 俺は【骸骨熱闘鬼ヒートオーガ】をバトルフィールドに出すぜ! 相手の墓地が三枚以上なら手札を三枚まで破壊する! さらに自分の手札を一枚だけ破壊してこのソルジャーで攻撃する」
それから俺は【骸骨熱闘鬼ヒートオーガ】が攻撃した時の効果を発動させる。それは自分と相手の墓地が合計十二枚以上なら発動する効果だった。その条件が揃っていた場合、墓地からソルジャーを一枚だけバトルフィールドに出せるのである。
そして最後の段階に入る。それは【死帝骨鬼デッドスカルマン】の攻撃で、自分のバトルフィールドにあるソルジャーの合計パワーの分だけ相手のライフを減らすのだった。それで相手は一気にライフが減らされたことが原因で俺の勝利が確定する。
「私の場合だとまだこれからが本番だったのになぁ!」
「夜彦の墓地を利用した戦術は速攻型だと考えられるな? でも、俺ならまずは夜彦が攻撃しても防げるから、すぐに倒される心配はない。だから、今度は俺と勝負だ!」
「良いぜ! やってやろうじゃん!」
そんな感じで俺はこの後で光太郎と対戦をした。結果は光太郎の勝利で終わる。それも光太郎が扱った戦術は準切り札の【光輝の聖霊ホーリーグレイス】の効果が決め手だったと言えた。このソルジャーは墓地に置かれた時、相手の手札を指定させて、それが【光輝の聖霊ホーリーグレイス】よりもコストが低かった場合、バトルフィールドに出せると言った効果だったのだ。さらにバトルフィールドに出た時、手札を三枚だけ指定して山札の一番下に置くことが光太郎の切り札が出せた理由である。山札の上から五枚をめくって、中から指定したソルジャーをバトルフィールドに出せる効果を発揮させたのだ。それで光太郎は切り札を出すのだった。
そんな風に俺たちはカードバトルを楽しんだ。それによって勝敗が決まったので、後は反省を活かして次は勝利できるように帰宅した後で両親の話を聞くことにするのである。
エデンズウォーズ シャチマくん @mukuromukuromukuro
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