呪物って怖いよ。

送られてきた謎の呪物①／短編『カグツチ』より

　どうも、皆さんこんにちは。呪物（じゅぶつ）コレクターのカライコです。

　僕の家には、全国から曰（いわ）く付きの物が送られてきます。所謂（いわゆる）、呪物というものです。

　これ、自分の手には負えないなと思ったら、どうやら僕に送りつければいいと考える人が多いみたいです。

　まあ慣れてますし、僕が好きで集めているので、全然構わないんですけどね。

　それでは、本題に入りましょう。

　今回届いた呪物は、木で作られたコの字型の箱のようなもの。黒く焦げていて触ると少しザラザラしている。恐らくですが煤（すす）でしょう。

　送り主は関東地域に住むAさんで、添（そ）えられていた手紙には、こんなことが書かれていました。

「██県で一人暮らしをしているAです。私の家族は先日、火災で亡くなりました。このコの字型の木片は、その後に台所で見つけたものです。見覚えが無く、捨てるにも捨てられないので、カライコさんに送るしかないと思いました」

　これだけでも十分不気味ですが、話はここからです。

　今年に入って、関東地域では不審火が五件発生しているんです。そして、その五件の火災にはいくつかの共通点があったんです。

　一つ目は、引っ越してから一か月も経たないうちに火災が起きていること

　二つ目は、火元がどれも台所であること

　三つ目は、同居していた家族が全員亡くなっていること

　…これは、おかしいと思いませんか？

　同じような状況で、台所から火が出て全員亡くなっている。それなのに火事の原因は、いずれも不明とされています。