第2話
「ここが、異世界…。あの女神様は確か、お金もくれたんだよね。それとステータスも確認しないと…いや、その前に街に入ろう」
そう、あの女神様は律儀にもどこかの街の近くに送ってくれたのだ。だがその代わりに街の入り口にいた一人の騎士が向かってきていた。
「君、迷子か?」
見た限り30代くらいだろうか。茶色のショートヘアの男性だ。私は正直に言うわけにもいかず嘘を交えながら話すことにした。
「いやちょっと門が大きくて驚いてしまいました。けっして迷子とかではないと思います…多分。ところで街に入りたいんですけど」
「そうか、身分証はあるか?なかったら銅貨3枚になるが」
「すみません。村から出てきたばかりでして身分証持ってないんです。あと、銅貨いま持ってないのでマルクでもいいですか?」
私はそう言って何もない空間からあるだけの硬貨を出した。空間魔法なのだろうか。よくわからないが硬貨が散らばってしまう。
「空間魔法持ちだったのか。というか全部で何マルクあるんだ?あぁマルクだと300マルクだ。っと両替してやろうか?いくら空間魔法持ちとはいえ限りがあるからな。全部で10万マルクだから大金貨1枚だが…使いづらいだろう。金貨10枚だ。どこかのギルドに入ると次から無料だぞ。さて、ようこそ王都へ」
まさかの王都でした。騎士から両替した金貨10枚を受け取り王都に入る。
たしかギルドに登録したら無料って言ってたよね。異世界と言ったら冒険者ギルドでしょう!!
そう思いながら歩いていたがよくよく考えてみればこの王都について全く知らないのだ。そもそも今いる王都がどこの国の王都なのかもわからない。
「あ、女神様から送られた場所の情報を手紙にしてもらったんだった。えーっと、何々?この国の名前はベグンベル王国と…なるほど…。って今欲しい情報はこれじゃないの」
仕方がないと思い通りすがりの人に聞くことにした。
聞きやすそうな人を探すと40代の男性を見つけた。
「あのすみません。道をお聞きしたいんですが…王都は初めてでして冒険者ギルドまでの道を…」
「冒険者ギルドまでの道か?私もちょうど用事があったのだ。案内しようじゃないか。私の名はトリトンだ、そなたの名は何というのだ?」
それなりに偉そうな人に声をかけたので言葉遣いも比例する。いや、もしかしたらもしかするかも。さっきから周りの視線がトリトンさんに向けられる。
「私の名前はアヤといいます。で…トリトンさんに周りの視線が集まってますがこれは…」
「あぁフルネームで名乗ってなかったな。もういいか改めて、私はベグンベル王国第10代国王、トリトン・ベグンベルだ」
相当な爆弾でした…
国を豊かにしたい少女の奮闘記 時雨古鷹 @sigurefurutaka9618
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