第5話 ジャニオタ
ジャニオタの私が周りから嫌われているのはわかっている。今年で54歳の私が未だにジャニーズの追っかけをしている。時には有休を使って大阪から東京などに遠征している。会社内からおひとりさまのお局と言われるようになってもう数十年。ただそれだけでも嫌われるが、若い社員からは自分よりはるかに年下の男の子を追っかけて気持ち悪いとか、それなりの年のパートからは自分の子どもくらいの子どもにお金をつぎ込むって気持ち悪いとか、陰口を言われているのは知っている。でも私はジャニオタを辞められない。私が本格的にジャニオタになったのは高校生の頃だ。光GENJIが一世風靡したころだ。それ以来、私はバイトで稼いだお金とか、短大を卒業して今の会社に就職して以来、稼いだお金をジャニーズに注いできた。周りの友達が次々結婚していく中で、私は堂本剛君と結婚できると本気で信じていた。でもそんな奇跡は怒らない。それでも私は待った。30代40代とジャニオタを続ける中で、私を満足させられるかっこよくて若い男は身の回りには現れなかった。いま考えると当然であるが。そんな私の勤める会社の総務課に某運輸会社の若くてかっこいい男の子が配達に来るようになった。他の女性社員の間でも噂になっているその男の子が配達に来たときだけ、私は仕事なんか差し置いて我先に荷物を受け取りに行く。陰で悪口を言われているのはわかっている。でもジャニーズ系の男の子は私のストライクゾーンだ。誰にもこの人とのひと時を渡したくない。私は年甲斐もなく、年の差婚ってありえるよねって思っている。身近にそんな推しの人が出来ても、ジャニーズがなくなっても私はジャニオタのまま変わりがない。
恋に落ちる女たち 紀伊かえで @hi592665
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