会社を出たのは15時前だった。


車に乗って携帯を手にした。


結城・・・・。


明後日・・・。


涼に逢うのか・・・。


アイツともうやったのかな。



・・・・・・・。


俺じゃ・・・・ダメだったのか・・・・。


結城に電話をかけ・・・・タバコを吸った。




『んー・・・もしもし???』


・・・・・・。

かなり眠そうな声。


「昼寝中?」


『んーー・・ちょっとウトウトしてた・・・・・どうしたの???』


・・・・・・。


「今から・・・・逢えねーかなって・・・・。」


俺が言うと・・・・電話の向こうでゴソゴソ動く音・・・・。


『ん・・・今日・・・・化粧も何もしてないから・・・・・』


そっか・・・。


「じゃ・・・明日は??」


『俊也・・・ごめん、・・・あの・・・・・』


「・・・・もう逢えない?・・・・」


『・・・・うん・・・・・。』



くそ・・・・。


涼に持っていかれた。


・・・・・・。


そんなの覚悟していた・・・はずだけど。


かなり悔しい。



ハンドルの上に頭を乗せ・・・・マジでここに連れてきたことを後悔した。

いや、・・・・。

後悔したのは・・・・。


10年前の、祐司との契約したことだ。



10年前、

結城と同じ高校に入学した俺。


その時、・・・俺は結城とは面識はなかった。

たまたま、その高校に入学し・・・同じクラスの・・・隣の席に居たスッゲーー可愛い子。


それが結城だった。



入学式を終え、親と一緒に帰る時にある男に声を掛けられた。


違う高校の制服を着た・・・・祐司だった。

最初は誰???って・・・・・

感じだった。


でも一緒に居たお袋は直ぐに、


「祐司さんーーー、お久しぶりです!」


そう言ったんだ。


祐司は当初から大人びていて・・・お袋と握手をして、


「お久しぶりです・・・。おじさんは元気ですか???」


見てくれからしてお坊ちゃまという感じ。


自分とは対照的なその男に、俺は警戒心Maxだった。



「お父さんねーー・・会社が上手くいかなくって・・・・なかなかねぇ・・・・」


そう、・・・うちの親父は都内で会社をやっていて・・・・そこはなかなかヤバい状態っぽかった。でもまだ学生だった俺には、どこがどうヤバいかってよく分からなかった。

すると祐司は笑って、


「息子さん、この高校に入ったんですね。おめでとうございます。おじさんの会社の事と共に息子さんとお話してもいいですか?」


俺を見て言ったんだ。


えっ???


何で俺???


そう思ったけど、


その時俺は・・・・


ある話を持ち掛けられた。



それを約束してくれたら・・・親父の会社に多額の融資を約束し、必ず潰さないよう守る・・・そう約束をしてくれた。


そして・・・その契約とは他に、毎月うちの家族に100万、俺に30万払うと言ってきた。


高校1年生の俺には・・・まさに夢のような話だった。



しかも・・・・結構簡単な約束事・・・・。


当初はそう思っていた。


何でコイツがそんな金持ってるの???そんな会社に携わる事出来る訳ッ???

そう・・・謎に思っていたら・・・・。


祐司は・・・あの謎の大企業。

OHの会社社長の御曹司だと母親に教えてもらった。


祐司は俺より2歳年上で、高校を出たら直ぐにOHに入社も決まっている。今も高校に通いながら経営の勉強もしながらOHにもすでに出入りをし働いていると言っていた。


俺は祐司との簡単な、

をし


俺が得たのは、

親父の会社の安全。

毎月うちに100万、俺に30万。


高校卒業後、俺もOHに入社。


これだった。



一度、店に戻り忠司に店の話をした。



「ぇえっ?!」

まぁ、・・・そうなるよねーーー。


「本当ごめん、・・・でもいつかお前に任せて、俺はまた違う事しようかって思っていたから・・・・それが少し早まったけど・・・」


忠司は俺がここをオープンさせた時からずっと・・・一緒に頑張ってきた仲間だった。


「そっかぁー・・・。まぁ・・・でもいつまでも俊也さんに甘えていられないですもんね・・・・」


・・・・・・。


「でも管理はするから、何かあったら直ぐに相談してくれ・・・」


「はい・・・・」


その後、俺は自分のデスクを少し整理し・・・・・。


OH専用の通帳を出した。


はぁ・・・。


また復帰することになるとは・・・・。


思わなかったぜ。





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