第21話

その後、車内は会話がなく静かで、私は窓の外の景色を見ていた。



途中、ちゃんと家に送って貰えるのか不安になったけど、

暫くすると、見慣れた風景が目に入り、ホッとした。




「あ、この辺りで大丈夫です」



私がそう言うと、道路の端にベンツは止まる。



「あーあ。もう真湖ちゃんとお別れか」



そう、一夜は寂しそうに私を見ている。



「うん。今夜はありがとう」



そういえば、この人には私の誕生日を祝って貰ったな、と思い出す。



「もし良かったら、今度ゆっくりとご飯でもどう?」



そう一夜に言われ、少し驚いた。



それって、また私に会いたいって事なのだろうか?



今夜は急な用事がこの人に入ったけど、

そうじゃなくても、この人はあれ以上私に何もしなかっただろう。



なら、また私に会いたいこの人の目的は何なのだろう?



私の事を、好きになったって事はないにしろ、

気に入ったのだろうか?



「私、彼氏居るけど、いいの?」



そう言うと、クスリ、と笑われる。



「いいよ。俺、頑張って真湖ちゃんとその男、別れさせる」



本気なのか冗談なのか分からない感じで、そう返される。




「別れないよ、私」



「とりあえず、LINE教えて?

また連絡する」



そう言われ、私は鞄からスマホを取り出した。



それを見て、ズボンのポケットから一夜もスマホを取り出す。



そして、LINEの交換をした。



「じゃあね、真湖ちゃん」



「うん…」



一夜にそう返事をし、私はベンツから降りた。



そして、なんとなく逃げるように早足で、自宅のあるマンションへと急ぐ。



一夜は怖くないが、あの永倉ジュニアと英二って人は、とても怖くて。



なんとなく、あの二人は私の事をよく思ってなさそう。



一度、バックミラー越しに永倉ジュニアと目が合ったが、

私を警戒したような目をしていたから。

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夜と遊ぶ 【完結】 マイマイ @maimaimaimaimaimai

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