第20話

「じゃあ、真湖ちゃん車に乗って?」



一夜がそう言うと、永倉ジュニアじゃない方の男性が、

ベンツの後部のドアを開けた。



私は一夜に手を引かれ、そのベンツに乗る。



すぐに、二人もベンツに乗り込んで来る。



運転席に乗って来たのは、永倉ジュニアではない人で、

永倉ジュニアの方は、助手席に座っている。



「英二(えいじ)。

真湖ちゃん乗ってるから、安全運転で頼むね」



一夜は、その運転席の男性にそう声を掛けた。



この人は、英二っていうのか。




「分かりました」



英二はそう言って、車を発進させた。




「にしても、煙草臭い車だね。

窓開けて」



一夜がそう言うと、後部席の窓が開く。



私も少し、この車の煙草の臭いが気になった。




「すみません。次からは気をつけておきます」



そう言ったのは、永倉ジュニアの方。



このベンツはこの人の車で、この人は喫煙者って事か。



「真湖ちゃん、ごめんね。

こんな煙草臭い車に乗せて」



そう一夜に謝られるけど、



「え、全然気にしてないから、大丈夫!!」



そう、慌てて否定する。


それは一夜にというよりも、永倉ジュニアに対して。



だって、怖いもん。

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