第19話

その永倉ジュニアの車は、

いかにもって感じの黒いベンツで。


その永倉ジュニア自体も、いかにもって感じの人だった。



一夜と二人、ラブホテルから出ると、すぐそこに停まっていた黒いベンツの前方の左右の扉から、

二人の男性が降りて来た。




どちらかが永倉ジュニアだろう。



どちらでも、見るからにヤクザって感じの人。




「ジュニア、迎えに来させてごめんね」



「いえ。うちの店すぐそこなんで。

それよりも、うちの若い衆の事で、加賀見会長の事迄呼び出す事になってすみません」



そう言ったのは、その二人の男性の、背が高い方の人。



この人が永倉ジュニア。



それにしても、怖いけど、凄く綺麗な顔をした男性だな。



「ホント。せっかく盛り上がっていたのに、ねぇ?」



と、一夜はこちらを見て来る。



一夜が私を見るから、その永倉ジュニアも私に視線を向けた。



そうやって見られているだけでも、睨まれているみたいで凄く怖い。



「この子、綾瀬真湖ちゃん!

ジュニア、悪いけど先に真湖ちゃんの事送ってあげて?

M駅近くの、高層のマンションだから」



そう告げる一夜。



何故、私の住んでいる所を知っているのか?と思ったけど。



これも、学生証を見たから知っているのか、と思い当たる。

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