支笏湖の青。キレイなキレイな、青。

その観光バスからは、乗客が消えてゆく。
ふうっと眠りにつき、水滴に溶けるように、水蒸気に包まれるように、輪郭がぼやけ、いつのまにか消えてゆく。

かといってホラーではない。
タグにある「不思議な時間軸」という言葉がぴったりで、まさに、ヒロインと男性主人公は不思議な時間を過ごすのだ。

男性主人公には、この「不思議」か何かわかっている。
ヒロインには、わかっていない。

そして、物語全体に、愛しさと悲しさと慈しみがあふれている。

支笏湖ブルー。美しい青。
それが象徴する、美しさにあふれた、感動作である。

その他のおすすめレビュー

加須 千花さんの他のおすすめレビュー1,018