もう一度読み返したくなる答え合わせと言葉遊び

乗客が消えていく観光バス。眠りに落ちた人から次々と消えていく。
やたらと話好きの乗客。我も我もと家族のことを、友人のことを話しだす。まるで誰かに何かを伝えたがっているように。

そして――――痛みに目を覚ます。それが生きているという証拠だから。

この作者様の作品の特徴かもしれませんが、読者に最初から『正解』を教えてはくれません。敢えて最も重要な部分をぼかしたままお話が進められ、さんざん考えさせた上で最後に答え合わせが待っています。

そして全てを理解するとまた最初から読み直したくなる、納得した上で今度は言葉遊びを楽しめるという、隅々まで工夫が凝らされた物語です。

一度目は霧の中を手探りで進むような不安を、二度目は計算された言葉遊びを、是非お楽しみください。

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