偽物だらけ

口羽龍

偽物だらけ

 啓太郎は慌てていた。今さっき、民家に入って金銭を盗んだうえに、放火をした。見つからないように過ごしていたが、警官が居場所を突き止めて、追いかけてきた。何とか身を隠したものの、いつ警官が出てきて、捕まえるかわからない。とてもおびえていた。


「くそっ・・・」


 啓太郎はすきを狙って、交差点から飛び出した。今なら大丈夫だろうと思い、走り出した。


「よし、逃げるぞ!」

「待て!」


 その声を聞いて、啓太郎は焦った。なんと、警官が待ち構えていた。早く逃げないと、捕まってしまう。どうしよう。今さっき走ったために疲れている。全力疾走できない。


「やべっ・・・」


 だが、啓太郎にも意地がある。なんとしても逃げきってやる。そして、逃走してやる。


「逃げきってやる!」


 啓太郎は角を曲がった。だが、そこにも警官がいて、追いかけてくる。


「えっ、ここにも!」


 啓太郎は頭を抱えた。もう逃げられない。降参だ。


 そこに、警官がやって来た。警官は手錠を持っている。啓太郎は抵抗できない。


「逮捕する!」


 警官は手錠をはめた。啓太郎はがっくりしている。逃げ切ろうと思っていたのに、捕まってしまった。


「やられた!」


 そのまま啓太郎は、パトカーに乗せられて、警察に連行された。啓太郎は下を向いている。




 その後、啓太郎は警察で事情聴取を受けていた。啓太郎はまだ下を向いている。逃げ切ろうと思ったのに、見つかってしまった。どうしよう。もう何年も刑務所から出られないだろう。もし、死者が出たら、死刑になるかもしれない。


「どうしてそんな事をしたんだ!」


 警官は机を叩いた。警察は怒っている。何人ものけが人が出て、反省をしていないんだろうか?


「金を盗もうと思って」

「そうか・・・。牢屋に入れろ!」

「はい! さぁ来い!」


 啓太郎は警官に連れられていく。啓太郎は抵抗をしているが、警官が強くて何にもできない。


 しばらく歩くと、牢屋が見えた。ここに入れられるようだ。どうしよう。啓太郎は焦っている。


「入れ!」


 啓太郎は牢屋に投げ込まれた。啓太郎は何もできずに警官を見上げている。警官は牢屋を離れた。だがその時、啓太郎が不気味な笑みを浮かべた。


 警官は牢屋のある廊下を歩いていた。ここ最近、この辺りで連続放火事件があったが、その犯人がようやく捕まった。本当によかった。これで安心して生活できるようになるだろう。


「何とか解決できましたね」

「ああ」


 だが、啓太郎の入っている牢屋を見て、何かに気が付いた。そこにいるのは、啓太郎じゃない。別の男だ。これはどういう事だ。


「あれっ、この人は誰?」


 男を見て、啓太郎を捕まえた警官は焦った。まさか、偽物か?


「に、偽物?」

「くそっ、騙された!」


 警察は頭を抱えた。偽物を捕まえてしまった。自分は警官として失格だ。




 その頃、本物の啓太郎はいつものように暮らしていた。すでに啓太郎は逃走していて、隣の町にいた。すでに逮捕されて、もう自分に捜査の手は及んでいないだろう。啓太郎は安心していた。


「へへへ・・・、そっくりさんを作って何とか逃げ切ったわ・・・」


 啓太郎はコンビニに向かっていた。今日の食料を買ってくるつもりだ。コンビニには何人かの人がいる。だが、啓太郎はまったく目もくれない。コンビニに入る事しか集中していなかった。


「いらっしゃいませ!」


 啓太郎は入店した。啓太郎は店内を見ている。店内にはペットボトル飲料やラーメン、おかず、弁当、お菓子などが並んでいる。


「これと、これを買ってと」


 啓太郎はかつ丼とカップスープを注文した。今日の晩ごはんはこれにしよう。啓太郎はレジに向かった。


「いらっしゃいませ!」


 店員はかつ丼とカップスープをスキャンした。いつも通りだ。


「623円です」


 啓太郎は1000円を出した。だが、店員を1000円札を見て、何かを感じた。だが、啓太郎は何も感じなかった。


「少々お待ちください」


 店員はいったん、事務所に入っていった。普通の1000円札なのに、どうしたんだろう。啓太郎は首をかしげた。


「あれっ・・・」


 と、そこに警察がやって来た。だが、啓太郎は全く気が付いていない。


「おい、お前!」


 啓太郎は振り向いた。そこには警察がいる。もう捜査の手は及んでいないと思ったら、まだ捜査していたとは。


「えっ!?」

「お前、よくも騙したな!」


 啓太郎は焦った。まさか、偽物という事がばれたとは。どうしよう。


「ど、どうして?」

「ここはどこだ?」


 啓太郎は辺りを見渡した。どう見てもコンビニだ。それがどうしたんだろう。


「コンビニ、ですけど・・・」

「よーく見ろ!」


 一度警察を見た啓太郎はもう一度当たりを見渡した。だが、そこはコンビニではない。まさか、ここはコンビニじゃなくて警察? 啓太郎は戸惑っている。今さっきまでいい気分だったのに、一気に地獄に落とされた気分だ。


「えっ、交番?」

「残念だったな!」


 警官は笑みを浮かべている。啓太郎は頭を抱えた。まさか、こんな形で捕まるとは。


「くそーーっ!」


 警官は笑いながら、手錠を出した。


「今度こそ、逮捕する!」


 警官は本物の啓太郎に手錠をかけた。啓太郎は呆然としている。


「チクショー!」


 本物の啓太郎は逮捕され、この警察で事情聴取を受けた。

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偽物だらけ 口羽龍 @ryo_kuchiba

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