卒業旅行! 悔いが残りました!

崔 梨遙(再)

1話完結:1400字

 学生の頃。親しい友人達で、夏休みに卒業旅行に行くことになった。どこに行くか? 僕以外の4人のメンバーに行き先を任せたら、九州一周ということになった。詳細を任せたら、フェリーとレンタカーを使うことになった。ちょうど、僕の兄が鹿児島に住んでいたので、そこで1泊か2泊なら出来る。鹿児島、熊本、宮崎、長崎、福岡を訪れることに決まった。僕以外のメンバーが予算を計算してくれた。5人でレンタカー代などを割るので、思っていたよりも安い金額になりそうだと思った。


 だが、“安い!”と思った僕は、ずっとバイトをしていたからで、予算ギリギリの額しか用意出来ない者もいた。とりあえず、丸田さん、総司さん、高田君、仁志君、僕の5人は予定通りにフェリーに乗った。


 そこで、仁志君の爆弾発言。


「俺、この旅行に来る前の黒部ダム旅行でお金が無くなったから、福岡のお祖父ちゃんの家で過ごすわ」


 “おいおい、それをフェリーに乗ってから言うのかよ?”


 僕等はざわついた。レンタカー代もガソリン代も、何もかも5人で割る予定だったのだ。1人でも脱落すると予算が変わってくる。僕と丸田さんは多目にお金を持って来ていたからいいが、高田君は難しそうな顔をして、総司さんに至っては顔がひきつっていた。総司さんは、本当に予算ギリギリしか持って来ていなかったのだ。だが、仁志君はお金が無い。出せと言ったところで、無いものはしょうがない。ということは、予定を見直すことになる。宮崎のシー〇イアか? 長崎のオラ〇ダ村か? どちらかを諦めないといけない。


 ここで、財布に余裕のある僕と丸田さんで少し話した。仁志君の分を、僕と丸田さんで出そうか? と。話し合った結果、“俺達だけがフォローする必要は無いんじゃないか”ということになって、宮崎か? 長崎か? いよいよ選ばなければならなくなった。僕は長崎を推したが、他のみんなは宮崎を推した。勿論、みんな長崎に行けないのは残念だと思っていた。当然、仁志君が恨まれる。


 だが、もう何を言っても仕方ない。フェリーで福岡に着き、レンタカーで仁志君をお祖父ちゃんの家に送り届け、博多の街を少しだけ楽しんだ。そして、そこから一気に鹿児島まで。九州縦断は思ったよりも距離があった。


 鹿児島では、僕の兄の家に泊めてもらった。遠浅の海で泳いだ。キレイな海だった。どこまで行っても浅かった。


 それから、熊本へ。阿蘇山の牧場などを訪れた。鹿児島では魚、熊本では馬肉を食べた。


 そして宮崎へ。何故、宮崎にみんなが行きたかったのか? シー〇イアが当時、出来たばかりで話題になることが多かったからだ。だが、シー〇イアを否定はしないが、当時の僕達は、“あ、長崎の方が良かったかも!”と思った。こうなると、ますます長崎へ行けなかったことを悔いることになる。そこで、また仁志君が恨まれるのだった。



 最後は、福岡の仁志君を拾ってフェリーに乗って帰った。不完全燃焼な僕達は、仁志君を恨んでいたのだが、仁志君は悪びれず飄々としていた。悔いの残る卒業旅行だった。やっぱり、僕と丸田さんがお金を出して、長崎も訪れた方が良かったのだろうか? もう一度、卒業旅行をやり直したい。多分、仁志君以外の全員が同じ気持ちだと思う。



 皆様は、卒業旅行に満足できていましたか?







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