第2話

 嶋田崇の日記(抜粋)


🔳四月十二日

 今日は、停止していた電気とガス、それにインターネット開設の手続きなどのため、市内中心部に行った。


 家の付近はスマホが圏外だったが、中心部では使えた。光ケーブルを通して貰う為に来てくれたN社の作業員に訊ねたら、「ああ、この辺はD社しか入りませんよ」そんな答えが返って来た。


 一つ手続き仕事が増えてしまった。明日D社に行って乗り換え手続きをしよう。


 東京から送っておいた荷物が届いた。殆どが書籍で、宅配便の運転手が何往復も山道を運ぶのが申し訳なくて、私も手伝った。


 台車も使えない道だ。現代人には住みにくい場所だとつくづく身に沁みた。運び終わった後、缶コーヒーを差し上げた。


 N社の四十代前半くらいの作業員に河童の伝説の事を訊ねたら、知らないと云われた。


 宅配便の運転手は、この辺りの人間では無さそうだったし、若い方だったので訊かなかった。



🔳四月十三日

 D社でスマホ乗り換え手続きを済ませて、帰りにえびす温泉という温泉施設に寄った。そこは家からも車で十五分くらいだ。


 家の風呂は薪の五右衛門風呂だ。昨日焚いてみたが慣れなくて大変だった。温泉に行けば風呂は焚かずにすみそうだ。おんせん県でよかった。


 風呂で一緒になった方々に河童の伝説を訊ねたら、聞いたことがある方が二人いた。お年は、七十八歳と八十一歳だと云っていた。他の五十〜六十代の方々は皆、知らないと答えた。


 D社の店員は皆若い方ばかりだったので、訊ねなかった。

 

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