SNICLO 1:64 クローラーラジオコントロールカー

博雅

こんな小さいRCカーでも凹凸を登れるんだ

・はじめに

諸君しょくんは、ラジオコントロールカー・通称つうしょうラジコン(以下、RC)による『ロッククローラー』および『ロッククローリング』という遊びがあるということをご存じだろうか。それは読んでごとく、岩の上をうような動きをするRCで遊ぶというホビーである。その車のスケールサイズは小さければ1/24、大きくて1/8(それ以上もあるかもしれない)であり、たいていは屋外のオフロード、ことに岩場を相手として奮闘ふんとうする遊びなのだ。


・SNICLO とは

ここに、ひとつのきわめて小さいRCがある。手の上に載る、卵ほどの大きさがあるマシンだ。アマOンにて15000円程度で販売されているものだが、このモデルには二種類あり、カメラ付き(!)のものとそうでないものがある。カメラが付属ふぞくするものは3万円に近づくのでなかなか手が出ないかもしれないが、カメラ無しでも充分楽しめるということは強調きょうちょうされなければならないだろう。


このRCのシリーズ(あるいはブランド)を、SNICLO という。The World Micro Car というふれこみで、オンロードにてきした他の車種しゃしゅもラインナップされている。今回ぼくが購入したのはオフロードタイプ、そして勿論もちろん『クローラー』タイプのものだ。


・他社製ミニサイズクローラーよりも小さなスケールでクローリングが楽しめる

某K社製の四輪駆動よんりんくどうミニサイズRCと構造は結構異なるのだが、かなりの急勾配きゅうこうばいや悪路であっても乗り越えることができる。このため、「四畳半よじょうはんであってもクローリングをするにはせますぎる」という部屋の配置はいちの事情がある方にはまさに朗報ろうほうと言えよう。ただ、やはりサイズがサイズなので、たとえば凹凸の多い布団の上などで遊んでいると、かなりの確率でスッテンコロリンしてしまうというのはご愛敬あいきょうだ。旦那さんもお嬢さんもそこだけは堪忍かんにんしてやってほしい。


・出来栄え

このボディは「ジOプ・ラングO-」であるとの説明がアマOンにあったが、どう見てもその車種なのに、ボディのどこを見てもそれらしきロゴが見当たらない。これはあまり追及してはならない事なのであろうからめておくとして、ボディも輪郭りんかくがシャープであり、シャーシに見合った具合にとても繊細せんさいかつ大胆に作られていることに驚きを感じざるをえないと言っておきたい。


・シャーシまわり

特筆すべきはシャーシまわりである。このサイズでなんと四輪駆動よんりんくどうなのだ。しかも、よくあるクローラー御用達の構造ではない。なんとも形容しがたいハイテクノロジーが詰め込まれているのである。


まず、サス(サスペンション)がとても柔らかく、凹凸を攻略するときにれるのがとてもかわゆいのだ。シャーシ裏を見てみると、一般には理解し難い特殊な4WD構造となっていることがお分かりいただけることだろう。ただし、カー本体が収まっているケースの説明にあるとおり、「絶対にホイールを手で回さないこと」これだけは守ってほしい。想定外の負荷によってギアが破損するそうなので、マシンを対象年齢以上の方(14歳以上)に貸す場合でも、それだけは守ってもらうことを約束するように確認してほしい。


・抜群のサスストロークと、眺める楽しさ

サスペンションが深いことはすでに書いた。このキットには、とあるアイテムが付いてくる。それはおまけなのだが、このマシンに関連するとある重要なアイテムなのだ。それはとりもなおさおず、「岩」である。試しにこの「岩」の上に、マシンのタイヤを一本載せるようにしてテーブル等に置いてみてほしい。サスの具合により、絶妙な塩梅あんばいでタイヤが4本すべて接地せっちしてくれることに感動するはずだ。こうして、足を可能な限り上げ下げして眺め、それに一喜一憂するのも、クローリングRCののひとつなのだ。眺める際は、可能な限り四方八方から眺め倒してあげて欲しい。それが、このRCジャンル・クローリングのたしなみ方のひとつであるから。


・プロポ

プロポ、つまりマシンを操縦そうじゅうする送信機そうしんきのことなのだが、これもまたミニサイズだ。ただ操作しづらいほど小さいというほどでもない。LEDのOn/Off、ステアリングトリム(左右への進行方向に対するバラつきを治すための機能)、電源のOn/Off、そして全体的スピードの強弱(2段階ある)といったボタンが配置されている。ステアリング(左右への動き)を調整するホイールが、このキットでは珍しく斜めに装着されている。ここも萌えポイントだろう。なお、付属している小さい充電用プラグを入れるUSB-C 用の凹みもある。これもまた注意すべきポイントなのだが、小さいプラグをマシン充電以外の方法で接続してはならないし、関係のない端子を、たとえそれが USB-C であっても接続してもいけない。


・LED

LEDも、このサイズには驚嘆きょうたんすべき方法で装着されている。フロントライトは常時点灯するのだが、バックする際も、前に進む際も、ステアリングを操作すると、ウインカーが点滅するのだ! ──かく言うぼくですら、このことはキットを手に入れるまで知らなかったサプライズである。


・充電

パッケージには、USBケーブルと、プロポの電池から直接充電するための短いUSB-C to USB-C の短いプラグが入っている。出先などでUSBケーブルが無い場合、このプラグが役に立つだろう。問題というか課題、もとい懸念材料は充電方法である。家電量販店で売っている充電器でかまわないだろう──ただし、「急速」「大容量」「タブレット不可」などの文言が明記されているものは避けた方が無難かもしれない。充電は20分ほどで終わり、おおよそ10分程度のクローリングがたのしめる。


なお、説明書きには、過充電・過放電を防ぐ回路がバッテリーに組み込まれているということなので、よほど神経にさわらない限り Li-Po 発火防止バッグなどは必要ないと思われる。嬉しいのは、充電中は各部のLEDがゆっくりと点滅し、充電が終わるとLEDが消えるので、それをサインとして本体からケーブル及びプラグを抜くとよいだろうという点だ。満充電を教えてくれる機能付きのRCは、充電池式RCホビーというジャンルが確立されてきている昨今でも、稀有けうな存在なのである。これはありがたいし、なにより安心して充電できる。しかしながら、説明書にはバッテリーの消耗を軽減する策として、「70%程度の充電」を残すように指示がされている。満充電し、3,4分遊んでから保管するようにすれば大丈夫だろう。


・おまけ

キットには、「岩」のみならず、数枚のデカールや、キーリングも付属している。デカールやキーリングで SNICLO 愛をアピールできるのも嬉しい。マシンがここまで完成されているというのに、このおまけには本当に感心させられた。


・注意事項

オフロード用とあるが、絶対に屋外や砂場で遊ばせてはならない。細かい砂がマシンのギア部に入り込んだりしたら事だ。また、羽毛布団なども注意されたい(細かい毛が生えているようなものは特に)。髪の毛などにも注意したいところ。


・おわりに

小さいクローラーRCをお探しの方、職場や家のテーブルトップでクローリングがしたい方、単純にオフロードを屋内で楽しみたい方──あらゆる人々にこのキットをおすすめしたい。この記事は案件でもないし、無論ぼくも何の忖度もなしにこのレビューを記した。これをきっかけに、一人でも多くの SNICLO クローラーRCユーザ-が増えてくれることを願うばかりである。

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SNICLO 1:64 クローラーラジオコントロールカー 博雅 @Hiromasa83

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