第6話 騎士の警告



王立図書館への帰路、夕暮れの街路で彼と出会った。


「藤堂殿」


アーサー・グリムリーダーは、まるで待ち構えていたかのように現れた。


「騎士団は図書館を監視しているのですか?」


私の率直な問いに、彼は微かに目を細める。


「監視ではない。保護だ」アーサーは静かに答えた。「危険な知識から、図書館を。そして図書館から、世界を」


その言葉に、違和感を覚える。図書館は護るべきものであり、同時に警戒すべき存在だと?


「貴殿の力は確かに素晴らしい」彼は続ける。「だが、全ての本が正しく分類されれば...何が起きると思う?」


「何が...」


「古の魔法書たちは眠っている。無秩序な配置こそが、封印の一つなのだ」


私の背筋が凍る。それは、ミラの言葉と明確に矛盾していた。


その時、台帳が突如として光を放った。まるで、アーサーの言葉に反応するように。


「その台帳」彼の声が鋭くなる。「どこで」


答える前に、別の声が割って入った。


「アーサー様、そこまでです」


振り向くと、リリアが立っていた。普段の柔らかな雰囲気は消え、凛とした表情を浮かべている。


「お嬢様」アーサーは一歩退いた。「分をわきまえぬ発言でした」


彼は私に最後の視線を向ける。


「忠告しておこう。図書館の秩序を追い求めすぎれば、取り返しのつかぬ事態を招く」


アーサーが去った後、リリアが申し訳なさそうに近づいてきた。


「すみません。アーサー先輩は...本当は」


その時、遠くで鐘が鳴り響く。


九階書庫の方角から、不穏な魔力の波動が漏れ始めていた。

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『図書館の魔法司書』~転生したら最強スキルは図書館司書でした~ ソコニ @mi33x

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