第10話
葉綾はテーブルの上に残ったケーキの箱を見つめていた。時間が流れ、空気そのものが柔らかく包み込むような懐かしい感覚が広がっていた。窓の外では、クリスマスのイルミネーションが柔らかな光を放っていた。その光が、二人の顔を柔らかく、そして静かに照らし出した。その光の中で、葉綾の思いが交錯する。これから先、どんな未来が待っているんだろう。紬央と一緒にいることで、少しずつでもお互いに変わっていけるのだろうか。
何気ない瞬間に感じる、未来への不安と同時に湧き上がる希望。葉綾は胸の奥で温かくなる感情を抱きながらも、その気持ちを言葉にするのは少し照れくさい。だけど、今こそ言わなければならないと思った。深呼吸をして、目の前にいる紬央をしっかりと見つめた。
「私たちって、これから…付き合ってみるのもアリかなって。」葉綾は少し照れながらも、思い切って言葉を続けた。その瞬間、胸の中の何かが軽くなるような感覚がした。どうしてこんなに緊張するのだろう。でも、紬央となら、きっと大丈夫だと思った。
紬央は少し驚いたように目を見開き、その後静かに目を伏せた。そして、ゆっくりと頷く。
「YES。」紬央の声は穏やかで、葉綾の心に温かな余韻を残す。その言葉に、葉綾は心の中で小さな確信を得て、安心感が広がった。これから先、二人で歩んでいく未来が、少しずつ形になっていく予感がした。
「紬央、よろしくね。」葉綾は優しく微笑んで、静かな確信を持って言った。
「よろしく、葉綾。」紬央は葉綾を見つめ、その眼差しに温かさがあふれていた。微笑みの中には、何か大切な約束のようなものが込められているように感じられた。
二人はお互いの目を見つめ合い、言葉がなくても、心の中でお互いの思いが通じ合っているような感覚を味わった。外のクリスマスのイルミネーションが、二人の顔を柔らかな光で包み込んでいる。温かな光が二人の間に静かな絆を感じさせ、その瞬間がこのままずっと続けばいいのにと思った。
二人はお互いの目を見つめ合い、時間が流れる。外のクリスマスのイルミネーションが、二人の顔を柔らかな光で包み込んでいる。
紬央は少し恥ずかしそうに微笑んでから、葉綾に寄り添った。温かなぬくもりを感じながら、この瞬間を大切にしたいと思った。
クリスマスの彼女 紙の妖精さん @paperfairy
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
近況ノート
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます