ねえ、

功琉偉つばさ @WGS所属

ねえ、

 ねえ、桜を見に行こうよ。あの満開のきれいな桜を。


 レジャーシートに座ってお弁当を食べて、お花見しようよ。


 そして春のポカポカした陽気に浮かれて一緒に昼寝でもしようよ。


◇◆◇


 ねえ、海を見に行こうよ。潮風薫る海に。


 泳いでもいいし、砂でお城を作ってもいいし。いっぱい遊ぼうよ。


 そして夏の燦々と輝く太陽がゆっくりと沈んでいく夕日を一緒に見ようよ。


◇◆◇


 ねえ、紅葉を見に行こうよ。あの真っ赤に染まった紅葉を。


 普通に山を遠くから見てもいいし、山に登ってもいい。


 そして秋のきれいなきれいな景色を見て一緒に笑い合おうよ。


◇◆◇


 ねえ、シリウスを見に行こうよ。白銀に輝く雪世界の中。


 寒いかもしれないけど二人でいればなんでもないよ。あのきれいなきれいな星空を見に行こうよ。


 そして一緒にあったかい紅茶でも飲みながら朝日が昇るまで一緒に話していようよ。


 ねえ、知ってる? 空って冬が一番透き通っているんだよ。雪が降るときに空の中の塵をくっつけて降ってくるからなんだって。ねえ、そんな空を一緒に見たいね。


 あったかいミルクティーでも飲みながらさ、こんな狭い場所じゃなくて。


 どこまでもどこまでも広い世界。数え切れないくらい沢山の星。一緒に見に行こうよ。


 ねえ、いつか一緒に・・・・・・


◇◆◇


 僕が好きだった・・・・・・愛していた君がいなくなってから三年後の冬。僕は一人で街明かりが届かない場所に来ていた。


 君はいつも僕のとなりで夢を語っていた。僕と一緒に過ごす、これからの季節をどんなふうに過ごしていたいか。どんなにこの世界は素晴らしいのか。どんなに・・・・・・


 君と来たかったなぁ。


 だってこんなにも綺麗なんだから。 


 ここは全て光でできている世界だった。あたりは一面真っ白い雪に覆われていて、空には数え切れないくらいの星が輝いていて。


 降ってくる雪の結晶の一つ一つがその光を反射して。どこまでもどこまでも綺麗な世界が広がっていた。


 皮肉なことにも君がいなくなっても世界は変わらずこんなにも綺麗だった。


 そしてほぼ真上を見上げると、そこにはシリウスが輝いていた。

      ☆                  ☆                                                                  

 君はどこに行ってしまったんだい。この沢山の星になったのかい? 

 ☆                 ☆

 ねえ、星たち。教えてくれ。あの子はここにいるのかい?                            

            ☆

 ねえ、                       ☆

                             ☆

 ねえ、   ☆

            ✧             *

 ねえ、                ☆

           *

 ねえ、                      ❋

 

 ねえ・・・・・・      *        ☆


 この景色を見ながら飲んだ温かいミルクティーがやけにしょっぱく感じた。                                   

          ☆


☆                        ☆

         ❋

                 *         

    *                      ❋


。  。  。  。  。  。  。  。  。  。  。  。  。  。  。 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ねえ、 功琉偉つばさ @WGS所属 @Wing961

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画