マフラー 🧣

上月くるを

マフラー 🧣



帽子屋へてぶくろ買ひに狐の子

マフラーを散らす肩先華やぎぬ


いかめしき顔のずらりと初写真

赤くなき炬燵に足を入れてみる


田作に嗤はれてゐる多作多捨

句誌に見る年功序列木偶廻し


双六や一揆をきらふ元庄屋

多弁の家と寡黙な家や福笑


国のため征くひとけふも国凍る

五日はやミニマリストに贈呈本


湯あがりの踵なめらに団子花

無欲こそこの世の華や団子花


神々の通ひ婚なり御神渡り

褞袍着て温泉街に坂おほし


頼むから元気でゐてと雪女

敬愛す女性先達石蕗の花


相方は新年会に浮かれけり

遠来の客も泊めよと女正月


カトレアや西田佐知子の艶歌美し

大寒の夜明けさみしきホテルとぞ




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

マフラー 🧣 上月くるを @kurutan

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ