第50話 最終話~明るい未来。
――自宅の裏の畑にダンジョンが出来てから早6か月。
今日も、オレはにゃあ助とこのはと一緒に裏のダンジョンに潜っている。
「にゃあ助! オークの群れだ! 魔法で支援頼む! このはは下がれ!」
「
「あーしは逃げて隠れるぅ!」
あれから、オレは『暴熊』のメンバーに戦い方を教え込まれて経験を積み、オークの数体相手ならば危なげなく勝てるようになっていた。
そのため、裏のダンジョンの単独攻略についても、みごとザワさんから免許皆伝をもらっている。
まあ、にゃあ助と一緒ならこのダンジョンでは敵なしだ。
そういえばにゃあ助だが。
あの後もなんかチカラをもつ魔石を見つけたらしく、ためらうことなくお食べになり、見事火魔法のスキルをゲットしている。
火を吐く猫が爆誕してしまったが、その存在が世に広まるといろいろと不味いため、軍の蝦名さんや教会の濱屋さんと申し合わせてその存在は世に秘匿している。
ただ、国のトップ探索者には隠し通せなかったらしく、にゃあ助の噂を聞いたこの国のトップランカー、国防軍の真坂瀬奈さんが訪ねてきた時は思わずサインをもらってしまった。
あの、いつもテレビで見ているアイドル的なヒーローがオレんちに来たんだぜ?
なぜか環那と星華は不本意げにしていたが、しっかり写真を一緒に取っていたからやっぱり嬉しかったのだろう。
で、後ろで隠れているこのはだが、いまは『暴熊』や、オレの探索時のポーターとして活動している。
あの後、このはの両親と連絡が付き、このはが家を出て我が家で暮らすことを承認した。というか、両親ともそれほどの悪人ではなかったようで、このはの身上監護をすることのできない自分たちのことを恥じ、このはのことをなんとかお願いしますとオレや環那、環那の両親に頭を下げてきた。
いまは正式に離婚して互いのパートナーと籍を入れ、互いに決して多くはないがこのはへの仕送りという名の慰謝料が振り込まれてくる。
で、このはといえばいまさら両親のどちらかと暮らすという選択肢は取らず、馴染めなかった高等部も自主退学して、探索者見習いとしてポーターをやっている。
ちなみに、環那の定めたルールにより、オレが一人で潜る時のこのはの同行は許されず、最低でもにゃあ助の同行時でなければポーターとして追従できない。
なんとも不思議なルールだ。
で、我が家の状況だが。
裏のダンジョンで思いっきり活動できるようになってから、お金のほうはスライム魔石で潤沢に稼ぐことが出来た。
相続税?
そんなものはとっくに完済してしまっている。
ちなみに、オレはその裏ダンジョンでの成果により、みごと未成年ながら正式な『探索者』となることが出来た。
本来、未成年は『見習い』という肩書が外れることはないのだが、納入した魔石の量が尋常ではなく、見習いという枠に収めていることに法や税の整備が追い付かずに無理が出てきたという事らしい。
この国でも前例のないことだけあって、それなりにメディアに出ることもあり、敦司なんかのオレを馬鹿にしていた連中も口を開けて黙るようになったとかなんとか。
そのためか、環那の機嫌がすこぶるよくなった。
おそらくは学校でオレの悪口とか言われて不快な気持ちになっていたのだろう。
そのことを思うととても申し訳ない気持ちになる。
申し訳ないと言えば、星華のほうもだ。
貧乏とか言われながらも孤高を保っていた星華だが、いまでは周囲なら好意的な声を掛けられるようにもなったようだ。
「お兄ちゃんが有名になったおかげだよ」と星華は言うが、陰ながら支えてくれた和也君の功績も大きいだろう。
ふむ、和也よ。
星華を嫁に望むか?
だが、まだ早い!(当たり前だ)
そして、環那と星華だが、お互いこの国での共通模試で全国1位という快挙を成し遂げている。
環那の方は、まだ高等部1年ながらもセントラルのダンジョン研究系の国立の学府から、すでに研究室に入ってくれとのオファーが入っているとか。
星華のほうも、この広先コロニーを飛び越え、セントラルの高等部、まあ、環那に声を掛けてくれた大学の付属高なんだが、からお誘いがかかっている。
これは、もう2年もすればオレも星華について行ってセントラルの深層ダンジョンにデビューせざるを得ないだろう。
推薦入学する子女の家族も一緒に移住できるみたいだしな。
そうなれば、叔母の衣鈴さんとも一緒に暮らせるだろう。
もちろんにゃあ助も連れて行く。
環那の方は‥‥‥環那の父ちゃんと母ちゃんから「嫁にして連れていけ」と真面目な顔で言われているので多分そうなる‥‥‥かな?
このはは、『暴熊』の正式なポーターとしてこっちで頑張るみたいだし。
さて、オークの群れも鎧袖一触で片づけた。
今日のスライム魔石を納品すれば、あこがれの『独眼竜鎧』を購入できるだろう。
「あいぴょん? この前もビゼンオサフネとかいうお高い刀買って星華ちゃんに怒られてたよねー? やめて! あーしまでカントクフユキトドキでご飯抜かれちゃうじゃないのっ!」
はっはっは。きこえんなー。
ということで、オレたち家族はなんとか幸せにやっています!
――― 完 ―――
裏の畑の小屋にダンジョンが出来たので、愛猫と共に妹を貧乏生活から救います! 桐嶋紀 @kirikirisrusu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます