第7話 夢を信じて。

 とある日の事である。

 

 夏美が遠方のクラブチームのチラシを持ってきた。


「どうしても行きたいの、親に一緒に頼んでくれる?」


 お春さんにか……。


 基本、東京のクラブチームだからと言って強い訳でなない。


 地方都市の力を入れているチームの方がいい場合がある。


 夏美はプロを目指しているのだ。弱小チームに入っても意味が無い。


「プロチームの下部クラブチームに入りたいの」


……。


「テストを受けて入れる見込みはあるの?」


 私の問いに夏美は下を向いてしまった。それではお春さんに推薦できない。私がその場から立ち去ろうとすると。


「わ、私はサッカーがしたいです」


 ぽろぽろと夏美は泣き始めてしまう。


「わかった、お春さんと相談してみよう」

「ホント!嬉しい。だから、美鈴のこと大好き」


 数日後、夏美はスパイクと練習用のジャージを持って入団テストを受ける事になった。


「美鈴、抱きしめて……重いプレッシャーが無くなるぐらい強く抱きしめて」


 私は愛しい夏美を抱きしめた。


「嬉しい、美鈴がぎゅーとしてくれた、これで戦える」


 それはその少女のサクセスストーリーの始まりであった。

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茜色のそら~限界集落からホームステイ先の女子とガチ百合の恋愛になる件~ 霜花 桔梗 @myosotis2

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