後日譚という名の僕なりの回答

 スマホを借りる条件をクリアするために、おばさんとの会話をあとがきにして載せたら「ネットリテラシー的に問題ありまくりじゃないかな」と真っ当な理由で怒られた。なのでおばさんの名前だけは仕方なしに非公開にしてあげる事になった。お前の始めた物語だろ、と言ってやりたいのをぐっとこらえる。だってスマホ欲しいし。

 更にその腹いせではないだろうが、おばさんからスマホを借りる上で条件が一つ追加されてしまった。その条件を学校のテスト問題風に書くならこうだ。


 問1.作中で最後に生き残っていたのは誰か。また、その理由も答えなさい。


 うーん、実にシンプル。設問とはかくありたいものだ。

 本編約三万文字、四百字詰め原稿用紙八十枚弱を読んで答えを探すなんてテストで出されたら全員投げだすだろうけど。

 なのでおばさんの会話からヒントを探す。


 「そっちの入れ替わりは被害者が探偵役の時点で破綻してるけどね」


 メタミステリの説明の時におばさんはそう言っていた。

 つまり本編中にも入れ替わりトリックがあった事になる。

 この場合『誰が』は簡単だ。どこかの大将だ。

 玉兎の大将が倒されたと報告があった時点で夢から解放されているので玉兎の大将ではない。

 残るは登場人物の関係からメタ読みで連合勢力の大将しかいないので、こっちで間違いない。これで他の大将でした、だったら後でおばさんに文句をつけてやる。

 

 では何と入れ替わっていたか。

 これはどう読み取っても限界があったので憶測ではあるけれど、連合勢力から玉兎に加入した兎のいずれかだ。本命は側近。これもおばさんの性格を考えたメタ読み。

 そのいずれか、と言うよりもどれでもいいんだろう。

 

 最後に連合勢力の大将が生き残っていたと推理する根拠は次の会話。


「SNSに上げたら大炎上だな……」

「阿呆なこと言ってないで手を動かせ!」


 一見スムーズで当たり前な会話だけれど、スマホどころかネットも無い世界の住民がそんなスムーズな返答をできるだろうか。それが出来るのは、最近人間の召喚を試みて人間の知識を得た兎だけである。

 他の勢力の大将も同様に試みている可能性はあるけれど、その場合、その巨大な勢力の強みを活かさずに連合勢力に身分を隠して侵入した挙句、玉兎の傘下に入るなんてリスクを冒してることになるので合理性が無い。弱小勢力の大将だからこそ意味のあるリスクだ。


 このことから生き残ったのは「連合勢力の大将」

 その理由は「現代人にしか通じないぼやきに対応できたから」

 以上、証明終了。

 

 これくらい文字数を稼げば一本書いた、ということにしてもらえるだろうか。初めてスマホを持った子供にしてはよくやった方だと思うんだけどさ。

 駄目ならその時は何を書けばいいのか。何かネタがあるなら教えてほしいものだ。


 その問いに答える者は、どこにもいない――

 なんちゃって。

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『餅つきスキルで戦国最強を目指す~天下餅は俺が喰らう~』(仮) ナインバード亜郎 @9bird

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