頑張っている君

学生作家志望

俺にしかできないこと

俺は新入社員、といっても社会人になって半年以上は経ってる。なのに今日もミスした。遅刻に忘れ物、印刷だけで5度のミス。もはや呆れて誰も俺を叱ったりなんかしない、係長だけが申し訳程度に怒って疲れ切って座る。


「おーい、おーい、須賀くん。おい須賀!」


「わっ、、すいません・・・・・・・」


「寝ちゃってました、」


「ははっw仕方ねえなほんとに」


なんだ?今なにやってたんだっけ。


「ぽかーんとしてないで終わらすぞー!」


「あっ、、すいません!!」


そうだ俺先輩に、終わってなかった資料手伝ってもらって・・・・・・


て、、、俺そんな状況に爆睡したの!?ああああバカ、ほんとにばかばかばか!!


頭を何回か叩いて眠い目を無理やりこじ開けた。


そこから1時間、資料の作成がやっと終わる。


「はあ・・・・・・。。さすがに疲れたな須賀。」


「まじですいません、こんな時間まで。」


「んー--。謝られてもうれしくねえ。ありがとうでいいんだよ。」


「ありがとうございます・・・・・・」


「須賀、なんか飲むか?ご褒美買ってやるよ!」


「いや、あの、」


「ん?なんだ飲まないの?別にいいけど」


ぴっ。緑色に点滅するボタンを押して出てきたのは、ブラックコーヒーだった。


「うまいんだよなこれ。」


「あの、先輩!」


「ん?」


「俺、この会社に必要ですかね。」



入社したての時はすごい緊張した、それと同時に「なんでもやってやる!」っていうやる気的なものも確かにあったと思う。でも今はなんか違う、やろうと思っても失敗ばっかりでどうせ、どうせって感情に縛られて。


そんな俺、この会社に必要ないんじゃないのか?いつのまにか、こう思うようにまでなっていた。


「須賀、そんなん誰だってそうだよ、完璧なんか無理だし、ちょっとミスが多いくらいでそう落ち込むなよ。」


「でも同期はみんな毎日、貢献してます。誰にも迷惑かけてないし、だけど俺は違う。先輩、みなさんにまた迷惑かけました。何にも貢献できてない。こんな俺必要ないですよ。」


「同期、同期、同期。同期なんて、たまたま年齢が同じでたまたま同じ会社に入ったた会社員だろ。同期がすごく見えんのは当たり前なんだよ、同じステージに立っているように思えちゃうんだからさ。」


「え?」


「みんな得意なことも苦手なこともある、完璧なんていないだろ。っ、共通点が多いから同じステージに立ってるように思えるかもだけど、それは違う。同期はすごいのに俺はできてないなんて思うなよ。お前らはそれぞれに役割っていうステージが用意されてんだから。」


飲み干した缶をゴミ箱に投げ入れ、もう一度先輩は財布の中から小銭を取り出す。


「自分が今、やれていることを考える。それからだ。」


確かにそうだ。俺はわかっていなかった。周りのことばかり上にして、自分だけが底辺にいるように考えてた。それを同期にも。


「横井はあれを頑張っている、町田はこんな風に活躍してた。でもその活躍とか頑張りってのは意外と本人が気付いていなかったりするもんなんだよ。横井も町田も無意識に頑張っているかもしれない。須賀はそれをすげえって言ってるんだ。」



「資料できました先輩!」


「ありがとう横井!」



「先輩来客っす!」


「ありがとうな町田!」


みんなみんな頑張ってる、でも俺も・・・・・・



「須賀のすごいとこは、残業して、しっかり仕事を終わらせること。なにより、最後まで、どれだけ失敗しようとも諦めずやりきること。その集中力だ。横井と町田にはできないことだよ。」


「先輩、あざっす!!」


「やっと言えるようになったか。須賀、飲むかコーヒー。」


「はいっ!!!!」




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