まいほーむ後編

第48話

「ちゃうねん！！ちゃうねんで、麗華ちゃん！！これは決して寝坊したとかっ」

剛が訪問者と対面していたら、アリスが洗面所から出てきた。

髪はきっちり結ってポニーテールにしているのに

「このバカッ、なんっちゅー格好で出て来てんだっ」

下着姿で。

慌てる剛に

「あ？大丈夫や、うちと麗華ちゃんの仲……仲……」

「「「……」」」

「んげっ！？」

剛に庇われながら訪問者を見て、アリスは滅茶苦茶嫌ーーな顔をした。

美人台無しってくらい酷い顔。

「朝から大胆だな、“神の愛娘”」

「なっ、なんでアンタがココにおんねん！？」

「うん？」

「お前はっ。俺が話を聞いとくから服を着て」

「日比野大牙ぁっ！！」

アリスが吠える。

そう訪問者は金融会社社長、日比野大牙だった。

「帰れ！！」

「コラ、アリスッ」

「なんでって？そりゃあお前」

「「……」」

ニッタァ……と日比野が笑う。

その笑みに自然と臨戦態勢をとるアリスと剛だったが

「剛に会いに来たに決まってるだろうが」

「あたしじゃないんかいっ」

「なんでお前に会いに来なきゃならん」

「あ”ー！？可愛いアリスちゃんに会いに来るのは当然やろっ」

「剛は可愛いが、お前は可愛くない」

「あ？」

「ハァ！？」

一触即発。

「剛に近寄んなっ、この変態っ」

前に出ようとするアリス。

「お前はっさっさと服を着てこい！！」

ドカッ！！

「ぎゃん！？」

剛はアリスの手を取り、クルッと体を回転させると彼女のお尻をおもいっきり蹴って洗面所へ戻す。

「何すんねん剛！！」

「ふ・く・を・き・ろ」

「おぐぅ……」

ようやく静かになった。

「悪いな、うちの姉貴が」

「問題ない」

アリスが騒ぐなんてことは日比野にはお見通しだった。

ケタケタと楽しそうに笑った日比野は真っ直ぐ剛を見て

「会いに来た、剛」

と言った。