家
第47話
朝、九時過ぎー。
「おま……本当にいつの間に入ってきてんだ……」
剛は目を覚ますとかけていた布団をはいだ。
すると剛のお腹に抱きついて眠るアリスの姿。
ベッドを譲っているというのに、アリスはいつの間にか床で布団を敷いて眠る剛と一緒に寝ているのだ。
「……アカン、まだ寝る……まだ寝るんや……」
「喧しい。さっさと起きろ。今日は麗華様と会うんだろ」
「!!はぁっ、そうやった!!ヤヴァいヤヴァいヤヴァーーい!!」
ガバっと起き上がったアリスが洗面所へ向かう。
寝起きとは思えないアリスの俊敏さに驚きつつ、剛も起き上がり布団を畳む。
結局一緒に寝るんならもうベッドで良いんじゃないか?なんて考えながら。
「しっかし、何者だよ麗華様」
“あの”アリスをここまで慌てさせるとは。
と、おもわず口に出す剛。
今日二人は不動産屋でアリスの親友、麗華様に会うことになっていた。
昨日の夜、家に帰ったアリスの元にかかってきた一本の電話。
それが麗華様だった。
『良い物件があるから見に行くわよ』と。
すでに決まったことで、拒否権はなかった。
アリスだけかと思ったら
『アンタの大好きな弟も一緒に行くのよ』と。
正義か、なんて思っていた剛だったが
『だと、剛』
『俺ぇ?』
てな具合に。
どんな物件か楽しみにしつつ
とりあえず集合時間まではまだ時間がある。
「コーヒーでも淹れるか」
「飲む」
「わかってるよ」
ピンポーンッ
「おう?」
「ぬぇっ!?」
チャイムが鳴った。
「ヤヴァーーい!!」
「喧しい」
叫ぶアリスを放っておいて、剛は玄関へ。
集合場所は駅で、ココではない。
麗華様ではないと思いながらも少しドキドキしながら剛は玄関のドアを開け……
「あ」
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