神様に溺愛されとるんですが、

稲荷 和風

第1話 なんだコイツ

この世界は昔から「神」と言う名ばかりの化け物に支配されている。この世界の人間は神様に気に入られなければ生贄としていつか捧げられる。


神に気に入られた人間もまた、子孫を残すための道具にすぎず、子供が孕めなかったり、飽きられたりすれば大抵は生きては帰れないだろう。


神は普段は人と似たような姿をしているが、本当の姿は私たち人間の何倍も巨大な体を持ち、そのほとんどが異形な形をしている。


神にも階級があり、一番高い階級の神は七人いるときく。というのも、神は悪魔と紙一重であり、人間の欲求から生まれた神と悪魔が存在するのだそう。


そんな世界で私は生きている。


目立たずおとなしく生きてきた私がまさか一番階級が高い神に気に入られるとは思っても見なかった。


下級や中級の神なら問答無用で連れ去られるようだが、上級の神となると、手紙とともに自身の羽を贈るようだ。


友人が目の前で中級の神に気に入られ連れ去られるところを、私はこの目で見ている。


だから上級も似たようなものであると思っていた。

憂鬱な日常生活が変わったのは、私のもとに白橡の毛色の狐が一通の封筒を届けに来たときからだ。


最初は夢だと片付けたが、窓辺には狐の咥えていた封筒が置かれていた。


中にはとても綺麗な羽が1枚、入っているだけだった。


黒と白、そして鮮やかな虹色がまばらになっているのが光に透かしてみるとよくわかる。


「綺麗…」

そう感じた瞬間、身体が重く、目の前が暗くなりそれからの記憶はない。


意識を取り戻したときには見知らぬ部屋にいて、ベッドに寝かされていた様だ。


白い、豪華な装飾や自身が寝かされているベッドの大きさ、そして、壁紙やシーツに所々目立つ血痕や手形などよく見ると奇妙な点が多い部屋である。


ゆっくりと起き上がろうとすると、首筋に痛みが走り、身体が熱く、敏感になるのを感じた、寝そべったまま動けずにいると、部屋の扉が開く音がし、誰かが入って来た。



部屋に入って来たものは、少なくとも人間ではなかった

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神様に溺愛されとるんですが、 稲荷 和風 @TYESIYAKTUNE1425

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