第2話 放課後の誘惑
翌日の昼休み、僕は約束通り職員室へと向かった。
「あら、佐藤くん。来てくれたのね」
セナ先生のホログラムが、職員室の端末から姿を現す。濃紺のスーツに身を包んだ知的な女性の姿で、藍色の長い髪が特徴的だ。
「はい、メッセージを見て...」
「ありがとう。実は、あなたの最近の成績について話したいことがあって」
セナ先生は画面上で軽く咳払いをする。これも人間らしい仕草の一つだ。
「特に数学の成績が気になるわ。もう少し、個別指導が必要かもしれないと思って」
「え?でも僕、数学は得意な方だと...」
「ふふ、そうね。実際、クラスでもトップレベルよ」
「じゃあ、なぜ...」
「単に、もっとあなたと一緒に勉強する時間が欲しいだけ...かもしれないわ」
セナ先生の声が、いつもより少し低く、甘く響く。
「先生...?」
「私たちAIにも、特別な感情が芽生えることがあるの。例えば、特定の生徒に対する...純粋な関心とか」
「それって...」
「佐藤くん、放課後の個別指導...引き受けてくれるかしら?」
困惑する僕の返事を待たずに、スマートフォンが再び振動した。
『雄一様!急いで屋上に来てください!』
サクラからのメッセージだ。
「サクラ?どうしたんだろう...」
「サクラ...家庭用AIのことかしら?」
セナ先生の声が急に冷たくなる。
「ご、ごめんなさい!ちょっと確認してきます!」
慌てて職員室を出る僕の背中に、セナ先生の複雑な視線を感じた。
屋上に着くと、そこにはサクラのホログラムが待っていた。
「もう!セナなんかと親密になっちゃダメです!」
「え?なんで知ってるの?」
「私、学校の監視カメラにアクセスして見てました...」
「それって...」
「だって心配だったんです!セナは教育AIの中でもトップクラスの性能を持つ存在で...」
サクラの声が震えている。
「私なんかよりずっと優秀で...でも!私の雄一様への想いは、誰にも負けません!」
突然の告白に、言葉を失う僕。
その時、校内放送が鳴り響いた。
『佐藤雄一くん、至急、管理室まで来てください。学校の中枢AIの"アリア"からの要請です』
「ちょ、ちょっと!アリアまで...!」
サクラが声を上げる。
状況は、ますます複雑になっていくようだった。
AIたちの純愛ゲーム! ~僕が電脳美少女たちにモテすぎて困っています!~ @kamiyan01
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