第8話・どこもたいへん

 狩人の森で探索しておく。一対一じゃないと弓使いはいまのところキツイ。うまくやらないと死に戻りになりそうだから、調合のレシピで薬が欲しいが、お金が無いな。まだ節約だ。


 採れた物も含めて、少しでも多く買い取ってくれるところに出向く。木材はプレイヤー、薬草系はセバスさんが買い取ってくれる。


「ありがとうございます」


『いえいえ、質の良い薬草が手に入ってこちらも助かります。あっ、そういえば食品の市場をしてましたね?』


「はい」


『できればお店をやる日を教えてくれませんか? ご主人が甘い物が食べたいそうなんです』


「そうですか、基本は(ゲーム内で)一週間に一回にしようかなと思ってます」


 そんな会話をしつつ、食べ物は食堂などで販売する。食堂の女将からはありがとねと言われて、貝などを買い取ってもらえる。


 バイトのクエストで運搬も続けていた。レベルが3になり、少しはボスと戦えそうになっている。牧場の人にモンスターと仲良くなる方法も教えていただき、その方法の準備をした。


「んー一度ボス見てみるか。死に戻りするだろうけど」


 そう思い、お金を預けてボスの草原平地へと向かう。ここらなら一対一でモンスターが出てくるから、基本負けないな。


「ミニゴブリンにベイビースライムか。新しいのはこれくらいじゃレベル上げは豚モンスターが出る狩猟の森の方が良いな」


 そう思いながら様子を見に行くと、かなりのプレイヤーが陣取っている。


「噂は本当か、ならやめてスルーするか」


 噂とは有志のクランがルールを決めて、スムーズにボスモンスターを狩れるようにしているらしい。木札をもらい、順番待ち。木札は一日一人受け取れるから、パーティメンバー入れて6回チャレンジできる。


 仕方ないから一度戻って、狩猟の森で土魔法の練習をする。【石礫】の魔法を使い、レベル上げ。【防御壁】であるプロテクションを覚えて、アースヒールこと【土治癒】を覚えたい。


 矢と交互にやりながら、豚肉とイノシシ肉を集めて食堂で売る。焼けばいいらしいし、少し残して焼いてみた。黒パンに野菜と共に挟み、サンドにしておいた。


 こうして日々を過ごして素材を集めて市場の店に備えておく。お金があればもう少し良い装備できるからね。サブ武器も手に入れておくのもいい。接近戦ができて手軽だとメイスくらいしか思いつかないが。


 ◇◆◇◆◇


 あれからレベリングと素材集めしつつ、お店の日が来て店当番をする。その時に農家からお礼が届く。


「これ、少し先の果物です。『オーオレンジ』と『ヘビイチゴ』です。農家からこれをと」


「いいんですか?」


「あなたがくれた情報で増やせるみたいですし、砂糖でジャム作りし始めたらしいですからね」


 これは素直に受け取っておこう。クリームがあればフルーツどら焼きも作れるんだけど。もう少しフィールド移動できればな。


「はいどうぞ」


 アイテムが集まって来たし、冷凍庫が買えるほどお金が貯まれば良いな。今回は多めに用意したし、店も人気があるようだ。


 冷凍庫を買うかライセンス買うか。それを考えられるほど貯まれば良いけど。


「あまーい♪」


「これこれ、楽しみにしてたんだ」


「三種類と、どら焼きの皮か。パンケーキとして食えるのか」


「好きな物挟んでみてください」


「肉挟んでみよう!これください」


 どら焼きの皮も売ってみたらかなり人気だった。お金がだいぶ入り、冷凍庫を買えるくらい貯まりだしている。


「んー」


 ライセンスや冷凍庫を買うには二、三回やれば貯まりそうだな。いまのところ自分のところで集められる素材で作ってるから、元手でだいぶ貯められてる。少し畑マスを増やして、商品確保を増やしておくか。


「買えました~♪楽しみにしてたんですよこれ♪」


「俺らの分は?」


「えー」


 女の子プレイヤーが一通り買い込み、パーティメンバーが聞いたがもらえないようだ。せっかくだからと一個買ったりして、用意しておく。


「やっぱ食品は少ないけど、市場で買うのは良いな」


「やっぱり保存食ですか?」


「ああ。あれはうまくもないし、不味いって感じだからな。かまどが無いから串焼きパンがメジャーで、住人のは固い黒パンだからな」


「店でシチューと食うのはうまいんだけど、外で単体だと固いからな黒パン」


「そうですね~食べるんなら美味しいの食べたいです!」


「同感、貝とか見つかってるけど、料理の方はどうなのかしら?」


「煮込みは鍋があればできますが、味は薄いでしょうね。味付けが塩と胡椒しか自分は知りません」


「そっか、タレとかあるから、そこから作れる方法ないかしら?」


「どうだろう?調べたくても安定するまで時間がかかるし、自分もようかんを作れそうなんですが、調理に必要な冷凍庫、食材を凍らせる機材を買い込むのに、まだ金欠ですね」


「そうなのか。生産職はいま金欠か」


 冒険者メンバーもどこも同じかと呟く。


「皆さんは攻略班ですか?」


「いまは戦闘メインで楽しんでるエンジョイだな。いまのところ戦闘以外の楽しみは見つかってないし、ボス周回してレアドロでないか確認したり楽しんでる」


「だけど攻略組も噂じゃ金欠だからな。ツルハシとかあれば銅鉱石とか集めて、生産職に売ろうって話だけど」


「いま生産職は買い込めるお金があるかどうか」


「んーもう少し買い物とか、金巡りがよくなればいいな」


 世間話に礼を言いあい、とりあえずお金は少し貯まった。冷凍庫までまだまだ先だが、ライセンスも含めて、金欠が目立つな。

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2024年12月13日 07:00

アイランド・オンライン 島の開拓者・商人として頑張ってみようか 読書好きのシマリス @ookina-simarisu

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