第7話・初めてのお店

 商人ギルドに向かい、店を借りる方法を聞いてみた。


「いまプレイヤーがレンタルできるのは市場の出店ですね。時間帯によってレンタル料が変わりますが、基本なにを売っても問題ありません。問題のある商品はこちらになります」


「ふむふむ」


「基本プレイヤー様は武器など売っていますが、食品ですか? 異世界の料理は少し興味ありますね」


「お菓子メインで、パンケーキをアレンジしたものを売ろうとしてます。とはいえ簡単な物ですが」


「それでも売れると思いますよ? お菓子ならこの世界だとケーキやカットフルーツぐらいしかありませんからね」


 なるほど、それを聞いてどら焼きは売れると思う。保存食としてようかんも作れるように練習しておくか。


「カード販売について詳しく聞きたいのですが」


「ほう、プレイヤー様もメモモンに興味が?」


「はい。販売ルールと基本方法など教えていただければ」


 まとめると、商人ギルドと魔術師ギルド、冒険者ギルドの協力販売らしい。魔術師が記録石からカードを取り出して、冒険者が強力なモンスターからドロップさせるらしい。


 まとまったカードをパックに替えて、商人ギルドが公平に販売しているとのこと。安いパックでも特別なレアカードが出る可能性を作っているとのこと。


「最初のカード、スタートパックはライセンス販売、これを買えば商品としてスタートパックを纏めて買うことができます。基本カードショップは商人ギルドがパックにしたものを売りますから、スタートパックは手に入れておかないといけませんね」


「なるほど。カード売買はどういったルールですか?」


「それはレア素材と変わらないですね。偶然カード手に入れた方はどんな方法でも売買は可能です」


「ふむふむ」


「ちなみにカードショップをしたい場合、魔術師ギルドで【錬金術】、【記録生成】のスキルを覚えるのもありですね」


「覚える金額は分かりますか?」


「二つのスキルを手に入れるのに2000マナ、スタートパックライセンスは10000マナからです。ライセンスを購入後一箱36個入りが8000マナで取引されます」


「なるほど」


 お金が無いから、どら焼き売って貯めるか。お金の高さから即座に決めて、まずは食品を扱う店として登録する予定にした。


 作ったアマロンどら焼き、天然どら焼き、白あんどら焼きを持って、知り合いのNPCを訪ねた。セバスさんが喜んで持ち帰ったりしたね。基本甘い物は喜ばれた。


 店の登録をして、島に戻ってそれなりの数を揃える。これだけあれば売れるかな?


 店員を雇う金は無いから、まずば自分で店をする。店でのアイテムのやり取りをシミレーションして練習して、後日に備えた。


 ◇◆◇◆◇


 朝一の時間帯、食品市場の出店一角で商品を展開する。プレイヤーはまだらにいるし、食品を売る人はそこそこいた。


「いらっしゃいいらっしゃい。甘味を売っていますよー」


 天然どら焼きは一つ300マナだ。相場が分かる【相場鑑定スキル】というのを取ってみた。おかげで値段設定は楽にできたよ。


「一つください」


「三種類を一つずつ」


「はいありがとうございます!」


 この世界の住人にそこそこ売れた。あまーい♪と喜んでもらえて嬉しいね。プレイヤーからも甘味だ!♪と喜ばれた。


「あまーい♪幸せ~♪」


「花蜜ですかこれ?」


「はい、それとドロップフルーツですね」


「ああ、あれ大量に手に入るのか、いいなー」


 水飴を安定して手に入れられない人が多いが、珍しくはないらしい。アマロンの方が珍しがられて、苗木だと知って残念がる人が多い。苗木では無ければ増やしたいからね。


 どうもディセント様から教えていただいたスキルの効果は知られていないようだ。掲示板に載せるか、聞かれたら答えるか。そう考えていたらドロップフルーツはどうやって増やしてるんですか?と聞かれて、素直に答えた。


「やった!自分農家で持っています。すぐに試してみます!」


「頑張ってくださいね」


「あっ、これ掲示板に載せてもいいですか?」


「んー人聞きしたくらいでとどめてくれればいいですよ。発信元になるのは少し」


「分かりました!」


 そこそこ高めにしたつもりだったけど、結構買う人が多いな。リクエストボックスというのがあり、感想などがある。


 暇なときに確認すると甘い物が少なく、プレイヤーが空腹値を回復する際に使用する保存食はまずいらしい。


『保存食より回復量があっておいしい!』


『毎日は無理でもゲーム内で週一で出してほしいです』


『もう少し種類求む』


『もう少し高めにしていいかも。頑張ってください』


 などなど、ブラックリスト入りしそうなコメントは無し。近場にいた料理人プレイヤーもやってきて、お互いの商品を交換した。自分は串に巻いたパンと串焼きや焼肉などもらった。


「串焼きパンはウマいですね」


「パンケーキ忘れてたなークリームとジャムが欲しい」


「果物なら狩人の森にあったはず」


「魚が欲しいな。手に入れたりしてませんか?」


「あっ、泳いでるのは見ました。あとは貝ですね」


「島ですか?」


「はい。ですけど【水泳】スキルがあれば、ここでも取れそうだけどどうだろうか?」


「取れるみたいですよ。【水泳】スキルを覚えるのが難しいらしいです。どう覚えました?」


 素直に島で練習したことを言われてああと言われた。意外と島の探索は少し後になっているらしい。基本レベルは6から7らしいからね。


 あと島の物で販売するとうるさいらしい。島に行かせろという人はいるらしいので。


「水泳で練習してこの辺りで探索できるか町の人に聞くか」


「貝が手に入れば煮物できそうですからね」


「焼き貝でも売れそうですね」


 そんな話し合いをしながら静かに販売を続け、そこそこお金が貯まりライセンスは無理だが、スキルは取れるため、取りに出向く。さすがに成長ポイントが少なくなり、スキルを習得できなくなってきたから、レベル上げを優先するかな?

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