第6話・商品候補
素材など集めてしばらく経ち、何品か料理を作ることができた。
「『花蜜のパンケーキ』に『天然どら焼き』か」
小麦粉からパンケーキを作り、紅豆から紅餡子を作り出したりして、どら焼きを作る。甘露煮もできたから『アマロンどら焼き』という栗どら焼きも作れたぞ。
『白餡どら焼き』もできて、とりあえず店を出す準備を続けながら、木の人形を作る。いきなり女神様はハードルが高かったため、普通の人形を作る。失敗しても女神様で無ければ薪に使えるからね。
どら焼きを作る中、他に素材はできないか調べるため、配達のバイトクエスト先、牛乳やチーズの牧場に訪ねてみたら、もう少しバイトしてくれたらいいこと教えてあげると言われた。
というわけで集中して配達をしていると色々教えてくれる。
「君は牛乳やチーズ作りに興味あるみたいだね。なら牛乳を手に入れる方法を教えるよ」
「本当ですか?」
「ああ、売るのは僕のところは無理だからね。僕は畑専門で、牛には規則外の物とか食べさせてるだけだから」
「それでどうすればいいんですか?」
「草原平地の先にある。山岳洞窟に行くルートから外れて、山頂の方に行くと『山頂道筋』というフィールドに入る。そこでノーアクティブのモンスターである。ミルクモーモーというモンスターを自分の土地に招くんだ」
「モンスターを、招く?」
「あれ? プレイヤーの人達は知らないのかい? 自分の土地にならどんなものだって招くことができるんだよ。まあ建物が必要だけどね。紹介状を出すから動物系、ノーアクティブモンスターを招くための建物を買えるようにしてあげるよ」
「ありがとうございます」
そういえばこのゲームはテイマーが無かったけど、これはどんなプレイヤーでも動物、モンスターをテイムできるからなのかな? とりあえず牛乳は欲しいから、職人ギルドで買い物しておいた。そろそろ売り物を調べたいな。
レベル上げのため、狩猟の森で頑張りつつ、現実で島探索について調べてみた。海岸線を調べる者達もいるみたいだから、自分もそうすることにした。
「採掘系が見つかるらしいから、銅鉱石とか見つかるといいけど」
そう思いながら海岸線を慎重に歩く。海からモンスターが見えたりするが、気を付けて進む。
採掘ポイントがあり、ツルハシを使う。固い岩、土粘土という素材が手に入る中、謎のアイテム『記録石』が手に入る。時々『レアな記録石』が手に入ってるな。
「銅鉱石とか手に入らないな」
できれば銅鉱石が欲しい。鉄は高望みすぎる。
そう思いながら掘ったりするが、記録石しか出てこない。『希少な記録石』とか出てくる。けどまあ………
「レア度は高いな。品質も良い」
とりあえず魔法アイテムのカテゴリーだから魔術師ギルドとかで売れるか確認するか。そう思いながら集めていったん帰る。まさかこれが貴重品とは思わなかった。
後日ログインして、早速売りに出向くと、魔術師ギルドがざわめいた。
「これは………どこで手に入りました?」
「自分が神からもらった島です」
「そうですか………んーむ」
とりあえずお金はかなりもらえる。代金としてかなり高めだ。
「どうしてこんなに高いんですか?」
「教えても良いですが、この希少な記録石を三つ、タダにさせてくれませんか? もしかしたらいい物が出るかもしれないので」
そう言われると少し悩むが、気にしても仕方ない。
「お願いします」
「それでは、記録石は【記録加工】と【錬金術】を学んでいると『メモリーモンスターカード』というものに加工できます」
「メモリーモンスターカード?」
「略してメモモンですね。これは世界中のモンスターを記したカードであり、立体魔法を使用することで疑似的なモンスターを召喚します。見せれば早いですね」
そう言って一枚のカードを取り出し、道具にセットする。子ラビが現れた。普通のよりかなり小さい、ミニチュアタイプだ。
「これは住人として招けないモンスターでもできることで、しかも幻ですから食事いらず。箱庭という道具を使えば理想のモンスターフィールドを作ることもできる人気コンテンツです」
「なるほど」
「ボスモンスターカードを集める人、可愛い系のモンスターを集める人。レアな記録、レアカードを集めるコレクターと多岐にわたって人気商品なんですよ」
「へえ」
「希少な記録石ならウルトラレア、ハイパーレアというのが出やすいですからね。レア、アンコモン、コモンでも人気カードはあります」
「そうなんですか」
「希少な記録石なら最低でもレアが出ますからね。ロイヤル加工版ならかなり安い」
「ロイヤル加工ですか?」
「はい。それとアート加工とロイヤルアート加工ですね。アート加工品はもう一枚の絵です。それだけでレアでもウルトラレア並に高値で売買されますね」
「色々あるんですね」
「はい。加工カードを売買するのならライセンスを買ったり、自分で記録石からカード加工して売るなどしてください」
「ライセンスはどうすればいいですか?」
「カード販売の実権は商人ギルドが受け持ってますね。カード加工はスキルがあれば誰でもできます」
「なるほど、ありがとうございます」
こうして色々話を聞き、そろそろ商人ギルドへ向かうことにした。
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