第2話
私は曖( あい)。二十四歳。
私には愛する人が四人いる。
四人ともかけがえのない大切な存在。
今日は週末の金曜日。明日は休み。愛する四人のうちの一人、今ラインが届いた幼馴染の耀( よう)との久しぶりのデート。
夕方に仕事を終えた私は早めに待ち合わせの恵比寿のスタバに着いていた。二階の窓際の席からぼんやりと外を眺める。小走りに走ってくるスーツ姿の耀が目に入ってくる。
二階フロアー入口の階段のほうに視線を送る私。もうすぐ耀が来る。耀に会える。なぜ、ドキドキしている。
耀と私は幼馴染み。福岡を流れる遠賀川の響灘に面する河口付近の町、芦屋で生まれ育った。家も長屋の隣同士で家族ぐるみの付き合い。小さい頃から一緒にご飯を食べ、一緒にお風呂にはいることもあった。
幼稚園から高校まで同じところに通った。
熱心なクリスチャンの母親に連れられて教会にも一緒に通った。
そういう幼馴染だからいつから付き合いだしたかというのははっきりしない。中学二年生頃には、お互いを意識し始め、付き合っていたと思う。そして高三の夏に私たちは結ばれた。
階段を一段とばしで耀が上がってくる。二階に着いた耀が回りを見渡す。目があった私は耀に手を振る。
狭いテーブルの間をサッカーで鍛えたしなやかな身体の動きですり抜け、私のいる窓際までやってくる。
「曖ちゃん、遅れてごめん」
アイのキセキ 本田たかおみ @takaomi_honda
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