12月の25回目

 今年のクリスマスは平日だ。そのせいか、いつもみたいなパーティー感が街に少ないように思える。それでも、ケーキを手に持ったサラリーマンは目立つし、子どもの目はきらきらと輝いている。特別な日だけれど社会はいつも通りに進んでいる。

 去年まではあんまり気にならなかったのになぁ。

 それはきっとまだ、学生でしかなかったからだ。

 やっぱりまだ覚悟が足りなかったのだと思う。自分がどうやって生きていくかの覚悟だ。今だってそんな覚悟できてない。でも去年の今頃よりは進んだ気がする。いや、ほんのちょっとまえよりかは、だ。

 何でもかでも応募していたのをやめて、いったん自分が何をしたいのか、考え直してみている。どうせ年末だ。応募したところで動きはない。というか、動きがある場所で働きたくない。

 結局はそういうところの切り分けができてなかった。自分が何をしたいのか、何ができるのか、どうしたいのか。それがわからないでとにかく就職。そんな気持ちだったから面接もうまくいかなかったりしたのかもしれない。

 それを気づかせてくれたのはとしくんだったり、美鶴だったり美穂だったり、店長だったり。みんな私は私らしく。よくよく思い返せば全員がそんなようなことを言っていた気がする。

 冬晴れが気持ちいいが空気は冷たい。冬真っただ中。まだまだ春は遠い。

 春にはきっとすっきりとした気持ちで温かい風を受けとめられるだろうか。

 それも全部自分次第だ。無理をしなきゃいけないことに何も変わりはない。そういえばとしくんが妙なことを言っていたけどあれは、本気なのだろうか。まあ、それもあとだ。今考えることじゃない。今は目の前の壁を乗り越えなきゃ。

 なんかとしくんに語るのが上手ですみたいなことを言っていたのを思い返す。言われてみれば子どものころから物語が好きだったし、想像するのは大好きだ。ボードゲームにのめりこんでいったのも、自分で物語を創造できるからだったのかもしれないと思う。

 だからといって書いたりする人になりたいと思ったことはにない。けれど、誰かに自分が読んだり、知ったりした物語をおススメするのおは得意だ。それに気づけたのはこの前のボードゲーム会があったから。

 やっぱりボードゲームは自分にとって欠かせないものなんだなと、気づけた一か月だった。そこに確かに存在する人と人とのつながりも含めて、大学4年間で積み重なったものだ。

 木枯らしが少し強めに吹いて春の髪を大きく揺らす。あまりの寒さに首を短くして体温を逃がさないようにする。

 やっぱり冬は苦手だ。寒くてあんまりわくわくしない。

 やっぱり春が好きだな。なにかが始まりそうな予感がするあの季節が自分にとっての本番だと思う。

 春はまだまだ遠い。でもきっとがんばってたらあっという間だ。笑って春を迎えられるように、もうちょっとだけ無理をしていもいいかなと。ちゃんとそう思えている自分をちょっとだけほめてあげようと。そう思った。

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春は遠くて、待ち遠しい アドベントカレンダー2024 霜月かつろう @shimotuki_katuro

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