九〇年代の空気が微笑ましい、「ジャ〇プ」や時代への愛に満ちた作品です

 登場する単語(伏せ字付き)の数々を見て、ついニヤニヤとしてしまいます。

 舞台は九十年代の終わり。一九九九年の七の月として、間もなくノストラダムスの大予言の日が来ようとしています。
 
 そんな「終わりの日」を前にしてごく普通の日常を送っていた中学三年生の直樹と麻衣の二人。
 二人は今週に発売される「ジャ〇プ」や、それで連載している「ハ〇ター」が休みになっていることなどを気にして過ごしています。

 この九十年代アイテムの扱い方が、とにかく楽しい。「その時代あるある」というのが感じられて、当時の空気を知っていても知らなくても、確実にニヤリとさせられます。

 そして、何より面白いのが、この二人の前に「ある存在」が出現すること。それによって二人は「ちょっとした未来」の出来事を聞かされるのですが、その内容があくまでも「ジャ〇プ」とかに関連するものになっています。

 もし、九十年代の人間に現代の「ジャ〇プ」や各種漫画の話をしたら、一体どんな反応をするだろう。そういう想像をしてとても楽しい気持ちになりました。
 「ジョ〇ョ」が第九部になってること、「こ〇亀」が終わったこと。「ハ〇ター」もまだまだ決着つきそうにないこと。そんなことを聞かせてやったらどういう反応をするだろう。

 そういう「IF」が楽しめるのと同時に、「これって九十年代の頃からあったんだっけか!」と発見もあり、しみじみと「時代」が感じられます。

 微笑ましさ抜群の青春冒険ストーリーです。