幼馴染に「イベント」が発生しました
焼鳥
【短編】幼馴染に「イベント」が発生しました
生きていると日々色んな
もしそれらの
「
「朝から耳が痛い。」
「酷い!!こんな可愛い幼馴染になんてこと言うの。」
「またタイムが縮んでね、このまま行けば年明けの大会で優勝も夢じゃないって。」
「相変わらず凄いな。」
彼女、
「・・お前今日学校閉まるまで部活か?」
「そうだよ。」
「ならこれ持っておけ。」
ポイっと折り畳み傘を渡し、彼女を受け取る。
「あれ?今日雨降らないって。」
「まぁ持っとけ、悪い事にはならん。」
「もしかして・・・いつもの直感?」
「そうだ。」
『直感』、香音とその周りの人にはそう教えている。
[イベント:にわか雨に遭遇する ヒント 傘]
そう書かれた白の吹き出しが彼女の頭の上から出ている。
俺、
これは小学生の頃から見え始め、長い時間をかけて理解、順応した。しかし自分に関わる
自分のが見れれば、人生をもっと楽に生きていけると思うのだが、現実は違う。
「安里の直感をいつも当たるからね。信じてるぞ~このこの。」
「勝手に言ってくれ。」
背中をツンツンしてくる彼女を無視して学校に向かった。
高校を向かう最中、安里は足を止めた。
「すまん、ノート使い切ったの忘れた。さっきあったコンビニで買うから先行っててくれ。」
「なんで昨日の内に買わないのよ。待ってるから早く戻ってきてね。」
「ありがとう。」
元来た道を戻り、俺はある人に声をかけた。
分かりやすいのはピンクの吹き出しだ。
これは所謂「恋愛イベント」だったり「Hなイベント」だったりする。
そんな感じで特別だったり、人生に関わるような
「あんた大丈夫か!」
肩を掴んだ別の高校の生徒。足に力が入っておらず、今にも倒れそうな雰囲気だ。
「大丈夫です。」
彼はそう返すが、安里は彼の前に立つ。
「あんたが何を抱えてるかは知らない。他人の言葉なんて軽い事を知ってる、その上で言うぞ。まだ『死ぬ』のは早いぞ。それをする前にコンビニでコーヒーでも飲んで落ち着いて、家に帰って家族にまず相談しろ。その『選択』をするのはまだ早い。」
彼に無理矢理コーヒーの無料クーポンを握らせ、そのまま香音がいる方に走る。
「なんであの人、僕が死のうとしてるの気づいたんだ。」
安里が見たのはそれだった。
[イベント:自殺 ヒント 家族]
そう書かれた吹き出し、安里はそれを見た。無視すればいいかもしれない、自分の人生に関係無いかもしれない、それでも後悔だけはしたくないから彼は声をかけた。
安里が彼と離れる際、その吹き出しが少しずつ白に戻って行くのを見て、「頑張れ」と小さく、聞こえないように伝えた。
「やべ、ノート買うって言ったのに買うの忘れた。」
どう誤魔化すかは後で考えよう。
「お腹空いた!安里一緒に食べよ。」
「いいぞ、何処で食べる?」
「今日は食堂。今日は唐揚げ定食なので。」
「じゃあ行くか。」
高校に着いてから特に変な
「あれ安里じゃん。安里はどれ選んだらいい?」
「俺は紅茶が飲みたい気分だ。」
「OK。」
クラスメイトに声をかけられ、
[イベント:当たりが出たらもう一本 ヒント 紅茶]
こんな感じで校内だけでも吹き出しが物凄く存在している。どれも白なので気に掛けるものじゃない。
「うわぁ...混み過ぎじゃない。」
「そりゃあ今日の定食は人気だからな。諦めて並ぶぞ。」
「休み時間終わるまでに食べきれるかな。」
「お前の場合食わなかったから倒れるぞ。」
「確かに。」
けれど思ったほど時間は経たずに食事にありつけた。食堂のおばさん達に感謝だ。
「なんで隣に座るんだ。」
テーブル席に座ったのだが、香音は何故か俺の隣に座って来た。
「ほら混んでるでしょ、こう座れば他の人も気軽に座れるじゃん。向かい合って話してる人の隣で食べるのってちょっと気が引けるしね。」
「まぁその通りだが。」
「ならいいでしょ。」
いや男女二人で座るのは話が違うとは思うが、香音は恐らく気にしていないので言わないでおこう。
「♪~。」
美味しいのか声が漏れている香音を見ながら、周りの吹き出しを見る。
どれも白いが、中にはピンクの吹き出しがあったりと、高校らしいものばかりだ。
「安里食べないの?」
「食うぞ、お前みたいに食べるの早くないだけだ。・・・お前まさかまだ足りないのか。」
「はい....」
ため息を吐きながらも唐揚げを一つを彼女の皿に移す。
「後は教室でお菓子でも食ってくれ。前にあげたの残ってるだろ。」
「わぁ!ありがとう安里!」
「おま!?こんな公共の場で抱き着くな、周りの目があるだろ!!!」
しっかり運動している彼女の抱き着く力から逃げられるわけもなく、しっかり公開処刑された。
「お熱いですな。」
「黙れ。」
高校に入学してからも香音の距離は近いままだったので、少し経てば噂にもなる。
クラスメイトからは『新婚夫婦』だったり『バカップル』だったりと言われ放題だ。
「俺は別に言われてもなんともないけど、あいつはファンも多いからやめてくれ。」
香音は女子陸上部の期待の星だ。性格もそうだが距離感が近いせいで、男子を勘違いさせやすい。彼女に近づく為に陸上部に入った男子が結構いるらしく、その破壊力を計り知れない。
「そうだよ安里君。あれで付き合ってないのも変だし、どう考えても香音ちゃんは安里君の事好きだよ。」
「女子達もやめてくれ。俺とあいつはそういう関係じゃ無いし、香音は部活で忙しくて恋愛事なんてしてる暇ないだろ。」
「そうやって安里は香音ちゃんを突き放そうとするから香音ちゃんはあれなんだろ。」
「お前らな....」
男女入り混じながら囲まれるとかなり怖い。
「結局安里君は香音ちゃんの事どう思ってるの。」
「そうだぜ安里~ここで吐けば楽になるぜ。」
「いや、その....あの~。」
もう喋るしかないと思った時チャイムが鳴り、先生が教室に入ってくる。
囲っていた生徒達は「遅かったか」と舌打ちをして席に戻る。
「助かった。」
確かに香音の事をどう思ってるかと言われれば、「好き」と答える。でもそれは『友達として好き』か『異性として好き』なのか分かっていない。
「優柔不断と言われればそれまでだけどな。」
こういう時、自分の
「香音は俺の事が好き....なわけ。」
そう言い切り、授業を受けるのだった。
「安里もう帰る?」
「あぁ帰るぞ。お前部活あるだろ、いいのか此処にいて。」
「安里に言いたい事あったから。」
その一言でクラスメイト達の言葉がフラッシュバックする。
「お、おう。なんだ。」
「今週末の大会見に来て!」
「・・・・・・・おう。」
想像していた言葉とは違ったせいで、返答が遅くなった。良かった、「好きです」とか言われたら俺が耐えられなかった。
「本当!絶対に見て来てね。」
「分かったから、お前も早く行け。」
「うん、じゃあまたね~。」
とびっきりの笑顔を見せながら、凄い速さで校庭に走って行った。
「あ~さ~と~。なんだあのイチャイチャは!!」
「そうよ安里君。あんなの告白みたいなものじゃない。」
「なんでお前ら此処にいるんだよ。つか見てたのかよ!?」
あんな場面を他人に見られるなんて最悪だ。今週末の大会もこいつら来そうだな。
「いや大きいな。」
週末になり、香音が出るという陸上の大会が開かれる場所に来たが、思ったよりちゃんとした施設だった。
携帯で香音が今に何処にいるか連絡すると直ぐに返信が来る。
〖メインホールで待ってて〗
〖分かった〗
施設の入り口からすぐの場所がメインホールで、中央によく分からないオブジェがあるので、そこで待つことにした。
「お待たせ~。」
「来たか・・・お前なんつう格好で!!??」
やってきた香音は既に競技用の服に着替えており、既にアップをしたのか汗を流していた。そのせいで服が体に少なからず張り付いており、彼女の体の形が否応なく理解してしまう。
「どうしたの安里?」
変に思った香音は俺の前に立ち、顔を覗いてくる。
「ひとまず汗を拭け!!!」
持ってきたタオルを頭の上から被せた。
「ごめん汗臭かったよね。」
「そういう問題じゃないがな...」
近くのベンチに座り、汗を拭いている香音の代わりにスポドリを自販機で買う。
[イベント:故障 ヒント 炭酸]
自販機からそう吹き出しが出るが、今は無視してスポドリを選ぶ。大方コーラでも買うと、壊れて大量に出てくるとかなので、普段なら嬉しいが今回は求めていない。
「ほいよ。」
「ありがとう。」
彼女の隣に座り、ついでに買ったコーヒーを飲む。花音も吹き終わったらしく既に飲み始めており、目を離した時には飲み切っていた。
「飲むの早すぎだろ。」
「ごめん、ちょっと喉乾きすぎてて。」
「大会出る前にトイレ行っとけよ。」
「分かってる。」
落ち着いたのか、コホンとワザとらしく香音は咳をし、話し出す。
「今日は本当に見に来てくれてありがとう。」
「身に来いと言ったのはお前だろ。」
「それでも。」
はにかみながら彼女は話を続ける。
「今日の大会を勝てば、年明けの大会でも自信を持って出られるの。」
「どうしてだ、今日の対戦相手はそんなに強いのか。」
「強い、確かに強いんだけどそうじゃない。」
「じゃあなんだよ。」
「夏の大会で負けた人が今日出るの。」
「夏、優勝した人か。」
「うん。」
それなら納得だ。かつて負けた相手に一度も勝つことが出来れば、その次からは『勝てる可能性』が生まれる。それはとてつもない程に当人のメンタルに作用する。
「だからね、いつも見てくれてる安里に私を見て欲しかったの。」
「どういうことだ?」
香音はベンチからヒョイッと飛び上がり、安里の前に立つ。
「安里の幼馴染は凄いってことをね!」
「そうか。」
そう言われたら見るしかないじゃないか。
もう一度彼女を見るとさっきまで無かった吹き出しが追加されていた。
[イベント:負けられない戦い ヒント 告白]
(は!?)
声が出そうになった、いや少しは漏れたかもしれない。それほどまでに衝撃だった。
「告白」の文字はそれほどにインパクトがあった。
(言えば香音は勝てるかもしれない。それで香音が自信がつけば。)
「なぁかの。」
「だーめ。」
口に出そうとした瞬間、香音の指がそれを止める。
「どうせまた『直感』でしょ、安里の表情で分かった。」
「でも。」
「信じて。勝つから。」
その時の香音の表情は、今まで見た事ないほどの『覚悟を決めた人』だった。
「安里の直感なんて簡単に越えてやるから!」
「そうか。」
それでも俺の足は酷く重かった。
「ふぅ。」
スタートラインに立ち、息を整える。
自分を含めて五人が同じライン上に立っている。この中で走り切って、一位を取る。
「お久しぶりです。」
「夏大会以来ですね。」
自分の隣に立つのが夏大会で勝てなかった人、私が今日越えないといけない人。
「よろしくお願いいたします。」
「こちらこそ。」
互いに手を取り合い、力強く握手を交わす。
審判の掛け声で皆ラインに手を置き、その時を待つ。
(いつも安里は私が大会に出る時に色々言ってきた。)
「直感とか言うけど、絶対に違うよね。」
きっとそれは私が勝つためにやっていたことなのだと思う。優しい彼の事だ、私の見てない場所でも何かしているのだろう。
「それでも、今日はいらない。」
今日の戦いに、私以外の人はいらない。
審判の腕を上げ、引き金が引かれた。
「香音。」
スタートの音が響いたと同時に、観客の声で施設が満ちる。
その中で安里だけは声を上げられなかった。
「本当にあれで良かったのか。」
彼女の上に出ていた吹き出しの色は『白』だった。つまりそれほど重要な
見れなかった、顔を上げられなかった。それほどに自分はこの力に頼っていたのだと痛感させられる。
「本当に最悪な奴だな。」
そう口にしても何も変わらない、変わらない筈だった。
周りの歓声が変わった。ただ叫ぶの声から変わって行った。
「あるぞ、あるぞ!行け香音ちゃん!!!!」
「ファイト~優勝しちゃえ!」
前を見た。
走っていた、走っていた。汗を垂れ流しながら走る彼女を俺は見た。
「抜いた!」
誰かが言った。
「信じて。」
彼女はそう言った。なら、俺がすることなんて一つしかない。
「行け、勝て、香音!」
声が出た、喉から血が出るんじゃないかと思う程に大きな声で叫んだ。
彼女と目が合った、そしてとびっきりの笑顔で、
「 。」
そのまま走る、走り切る。
そして誰も彼女を、香音を抜かすことなくテープは切られた。
「どうだった?」
「・・・・・・・・・。」
「安里?何か言ってくれないと私寂しいのだけど。」
「・・・・・よかった。」
「な~に聞こえないな~。」
「カッコよかった!満足かこれで。」
「満足!」
あの後トロフィー担いで俺の所にまで爆走してきたのは予想外だったが、それほどまでに嬉しかったのだろう。普段なら怒ったり呆れたりするのだろうが、彼女の笑顔見て、全てがどうでも良くなった。
「安里の幼馴染は凄かったでしょ。」
「そうだな、マジで勝つとは思わなかった。」
「嘘!?私負けると思われたの!酷い。」
「それはその...色々ありまして。」
「直感も裏切ることあるってことだね。」
してやったりとカッコつける香音を見て、思わず笑ってしまう。
「その通りだな。よく当たる直感もたまには裏切ることを知れてよかった。」
ありがとう香音。心からそう思った。
「一緒に帰って大丈夫なのか?」
「もちろん。先生に言ったら「はよ彼氏と帰って休め」と言われました!」
「その彼氏の部分は何か言ったのか。」
「何も言ってないよ。」
週明けの教室に行く気が失せた、月曜日は休もうかな。
最寄りの駅まで二人で静かに歩いた。疲れていたのもあるけど、二人ともあの時の記憶に振り返り、時たま顔を見合わせては笑いあっていた。
「信号青じゃん。安里変わる前に行こう。」
「おう。」
香音が安里の前を走る。
彼女の上に吹き出しがまた一つ増えた。たった今増えた。
赤黒い吹き出しが彼女の頭の上から出てきた。
[イベント:衝突事故 ヒント 押す]
「香音!」
「どうしたの。」
香音がこちらを振り向く、そしてそのせいで横断歩道に迫るトラックに気づかない。
体が動いた、人生で一番速く動いたんじゃないかと思えるぐらいに動いた。
彼女を押し出した後、トラックが視界の横に映ったのを最後に、電源を落としたように意識が落ちた。
「あれ、俺何してんだ。」
いつのまにか安里は周りが真っ暗な場所にいた。
「なんで此処にいるんだっけ、何も思い出せないや。」
ピコンと聞きなれた電子音が響く。
気づくと目の前に見慣れた吹き出しが出ていた。
「何も無い場所出ているのは初めて見たな。」
安里からも吹き出しが出ているのなら違うのだが、生憎彼はそれを視認出来ない。
[イベント: ヒント 」
その吹き出しの
「何も書かれてないのも初めてだな。余計に意味が分からん。」
その吹き出しに触れようとした瞬間、横から何かに突き飛ばされる。
ゴロゴロとどれぐらい転がったのか分からない。でもそんな事どうでも良かった。
全身が痛い、痛いなんて言葉で済ませないような激痛と苦しさが全身を襲っている。
「■■■■■■。」
声と呼べない何かが口から洩れる。助けを呼ぼうにも言葉にならない。
なんとか動かせる目を動かした。そして視界をあるものを映した。
[イベント: ヒント 耐える」
いつも見てきた吹き出しが自分の前に立っていた。
(耐える、これを耐えなきゃいけないのか。)
その吹き出しは確かにそう書かれていた。まるで義務と言わんばかりに。
(無理だ。痛い、苦しい、諦めたい。)
そう思った瞬間、吹き出しの色が変わって行く。赤黒い色に変わって行く。
(嘘だろ。)
赤黒い色の吹き出しの意味は知っている。だからこそ考えてしまう、(もう楽になった方がいいのではないか)と。
その瞬間、先ほどの比じゃない速度で吹き出しの色が変わる。
全てが変わるその刹那、声が聞こえた。
「安里!」
知っている声だった。俺が良く知る彼女の声、誰よりも大切な幼馴染の声だった。
「■■■■■■■■■■。」
無理矢理体を動かし、引き摺りながら吹き出しに手を伸ばす。
(死にたくない。)
色が白に近づく。
(まだ死ねない。)
色が白に近づく。
(生きたい。)
色が白に近づく。
「
真っ白に変わった吹き出しに手が触れた瞬間、あの時と同じように電源を落としたみたいに意識が落ちた。
それでも全てが黒に染まる前に確かに見えた。
[イベント:生還 ヒント 耐える]
その文字が。
「あれ、ここは。」
真っ白な天井、見たこと無い部屋。でもほのかに暖かい感覚があった。
「・・・・ありがとな。」
すぅすぅと寝息をたてながらも手を握り続けている香音を見る。
「う~~ん、寝て・・・・うそ。」
「おはよう。」
「あさと、あさと・・・・安里!」
「ゴフッ!!!!」
香音の見事なダイブをもろに喰らったがなんとか受け止める。
「生きてる!起きてる!目の前にいる。」
「その....香音.........医者。」
「あ・・先生!!!!!!!!」
俺が目覚めた事を伝える為に部屋を飛び出していき、俺の家族も込みの大所帯で戻って来た。
「まぁ奇跡だね。」
俺の容態的に生きるか死ぬかの瀬戸際だったらしく、外も中もグチャグチャにだったらしい。運び込まれた近くの病院が総合病院だったこと、その日は大掛かりな手術をする為に名医が集まっていたこと。その他にも様々な偶然が重なって今があるらしい。ならあの場所で見た吹き出しの文章の意味って・・・考えないようにしよう。
「まぁ一先ず一ヶ月は入院、その後はリハビリがあるから頑張りなさいね。」
「リハビリですか?」
「そう、君の体は君の想像以上に酷い状態だったの。一般人に戻すまでが治療だからね。そうとう辛いかもしれない頑張りなさい。」
「はい。」
その後は体中色々見られ、一先ず安静と言い渡された。
「本当に良かった。」
部屋には香音以外の人はいない。
「あの日背中を押されて、慌てて安里の方を見たら。」
ポタポタと涙を流す彼女に俺は何も言えなかった。
「死んじゃうと思った。手術が終わった後も目を覚まさないし。」
「すまん。」
「謝らないで。」
ギュッと強く手を握られる。
「また『直感』だったんでしょ。」
「そうだ。」
「安里が死んだら意味が無いよ。これまでもこれからもそう。」
香音が顔を上げ、言った。
「一人にしないで。約束して。」
「分かった、約束する。」
「うん!」
無理矢理な笑顔だった。でも今はそれで良いと思えた。
[イベント:『いつまでも側に』 ]
「へ?」
突然出てきた吹き出しに声が漏れてしまう。
そしてそれの吹き出しはいつも見てきたものとは違った。ピンクに近いが異なる色、『桜のような優しい色』だった。しかも普通の異なり、ヒントが存在しない。またそれとは別で問題が発生した。
[イベント:
[イベント:リハビリを進める ヒント 香音の手を借りる]
[イベント:香音とデートする ヒント 映画館]
その他諸々。
(!!!!????)
こんな一気に吹き出しが出てきたは初めてだし、何故か全部香音に関係するもので。
「なぁ香音。」
「何。」
「俺の事好きか。」
「大好きだよ。」
どうやらこの先、まだまだ俺は
幼馴染に「イベント」が発生しました 焼鳥 @dango4423
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