ダメなことをする理由ってなに?

 ダメだということを人はなぜしてしまうのだろう。

 結果的に相手を傷つけるのに。

 けど、結局、自分が幸せになりたいだけなんだ。

 自分が幸せになれればそれでいい。

 みんなエゴで生きているんだ。



「ごめん、放課後に用事入って一緒に帰れなくなっちゃった」


 美咲からそう告げられたのは、昼休みのことだった。


 当然、一緒に帰れないだなんて嫌だ。

 終わるまで待つよ。

 そう言いたいが、女々しいと思われたくないので心の中で我慢する。


「そうなんだ」


 まあ別に、一緒に帰れないくらいなんてことないもんね!!


 自分にそう言い聞かせた。


 俺と美咲は別のクラスだ。

 俺は二年D組。

 美咲は二年B組だ。


 そのため、お昼休み終了五分前に俺と美咲は別れ、各教室に戻った。


 はあ……同じクラスがよかったなあ。

 最近、俺はとあることに悩んでいる。

 失礼なことは承知だが、もしかしたら美咲が浮気をしているかもしれないということ。

 根拠としては、美咲のクラスメイトである鶴城誠也という超イケメンと隣の席だからだ。

 B組の友達から仲良く話しているということをよく聞く。


 まあ、違うよな?

 今日も本当に用事があるから一緒に帰れないんだ。

 別に鶴城と何かあるからではない。


 なんてことを考えていた俺は本当にバカかもしれない。


 なんでこういう嫌な予想は当たってしまうのだろうか。


 放課後、こっこりと教室の外からB組を除くと、美咲と鶴城はなんだか笑いながら勉強をしていたのだ。


 胸が苦しくなった。


 ああ、これがNTRってやつですか。

 え、あんたから告白しましたよね?


 がしかし、その突如、俺は美咲と目があった。


 すぐに美咲は立ち上がり、こちらにやってきた。


「違うのっ、これは……」


 え、違うってなんですか?

 美味しいんですか?

 何味ですか?

 辛いんですか?

 甘いんですか?

 ぷふぇ〜。

 わかんにゃいにゃあ。


「ご、ごめん……」


 すぐに鶴城が俺の元へやってきた。


 慌てている表情だ。


 浮気してんだもん、当たり前だよなー?

 その顔面潰してやろうか?

 あん?

 鼻折ってやろうかあ〜?


「本当に浮気とかじゃないんだ。夏海さんがこのままだと数学赤点になっちゃうから……」


 信じれるかよッ。

 無理無理むーり(笑)。


 美咲は顔を真っ赤にしながら、


「そうなんだ……このままだと赤点で。けど、恥ずかしくて優斗に言えなくて……」


 なんだあ〜。


 全身がポカポカと温まり出す。


 そうだったのねえ〜!!!!!!!!


 美咲は恥ずかしい時にすぐこうしてりんごのように真っ赤な顔になる。


 つまり、これは事実!!


「なんだ、心配したぞ。そっか、なら許す!!」

「は、はは……」


 苦笑いをする鶴城。


 なんだよその笑い方?

 ムカつくな。

 金玉とるぞお?


「ば、バレちゃったし優斗に教えてもらう、ごめん鶴城くん」

「いや、それがいいよ」


 勉強か教えるのめんどくさいな。

 

 美咲は頭が悪く、あまり理解力もない。


 きっと、鶴城も苦戦しているだろうし。


「いや、俺より鶴城の方が頭いいしどうせなら鶴城に教えてもらえよ」


 事実。

 鶴城は学年一の学力を持っている。


 俺はたまに思う。

 果たして、頭がいいってことは勉強ができるということなのだろうか、と。


「いやいやいや、流石にそれはダメだろ神崎くん」

「え〜、教えてよ、優斗〜」

「それに今日はこれから用事があるんだ」


 もちろん、嘘。


「てことで、頼むぞ鶴城」


 この選択が俺の人生を狂わせる結果となってしまうのだった。

 今思えば、美咲に勉強を教えておけばよかった。

 そうすれば、こんな罪悪感も生まれなかったし、俺の人生はそれなりによかったと思う。

 まあ、今頃思っても遅いんですけどね(笑)。

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彼女の親友の穴に挿れる。 さい @Sai31

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