第7話 夢を見る
私はたまに昔の夢を見ることがある。
それが最近は頻度が上がっている原因は……多分、神原くんだ。
あんなベタな場所に呼び出して好きと伝えてきたのに友達からだなんて……可愛すぎるよ……でも私も好きだなんて伝えることは出来ない……。
そうやって悶々と考えていると夢は始まった。
秋の終わりごろ、病室で1人窓を見から見える木から葉が落ちるのを見つめているある日のこと、その子は突然、私の病室のドアを開けた。
「あれ?ここは、僕のお部屋じゃない……?」
そうやって両手におもちゃを持って小声で入ってきたのは5歳児の神原くんだった。
「ん?そんな所で寝てたら暇じゃないのか?俺と遊ぼーぜ」
私を見つけるなりベットに飛び乗ってきた。そんな姿を見て私もこんなに元気ならいいのにと思って追い返そうとした。
「病気で、ベットから出られないんだ……ごめんね、大人の人を呼ぶからその人と……」
作り笑いを浮かべて、断ろうとした。が話を聞かずに神原くんはベットによじ登って玩具であそび始めた。
私は暇だったのでそんな姿を見ていると、急に玩具を差し出された。
「お前も一緒に遊ぼーぜ!こいつの名前はカンバラマン!お前のは……てんしちゃん!お前にピッタリだな!」
それからだ、2人で沢山遊んだ。
具体的には思い出せなかったけど、今までで一番楽しい記憶だと思っている。
「おや、
お父さんは体のことを考えて昼頃だけ様子見に来てくれていた。
「おれ、くにかず!こいつのしんゆうだよ!」
お父さんは、神原くんの目線に合わせる為にしゃがみ込んだ。
「神原くん?でいいよね?この子はれいかって言うだよ。分かるかな?」
「れいか?、うんわかった!」
「遊んでくれて嬉しいけどそろそろ休ませて欲しいんだ……またれいかと遊んでくれるかな?」
「うん!また遊びに来る!」
「うん、ありがとう」
神原くんはおもちゃを置いて帰って行った。
そのあと、お父さんはりんごをうさぎの形で切って食べさせてくれた。
少し病院でのことを話したらすぐにどこかに行ってしまった。この頃から毎日のように神原くんが遊びに来てくれていた。
私はそんな日常が大好きだった。この時間が止まってしまえばいいのになって何度と願った。
それでも終わりは突然にやってきた。
ある日私は少し体調が良かったから病室の前まで歩いて神原くんを驚かせようとしていた。
すると神原くんは私服を着て大人と一緒に私のところまで来た。
「おれ、みずぼうそ?が治ったから帰ることになった……」
神原くんは俯きながら、そう言うと私は寂しさのあまり泣いてしまった。
「そう……なんだ……」
「これ、俺たち親友だからあげる!」
いつも遊びに使っていた天使のおもちゃを貰った
「いつか元気になったらまた遊ぼ!」
神原くんは手をおおきく振りながら帰って行った。
視界は真っ白になっていくいつもここで目を覚ます。
目を覚ますと、いつもの私の部屋お気に入りのクマのぬいぐるみを抱き締めなていた。
「また、あの夢を見てたんだ……」
俯いていると、神原くんに告白された日のことを思い出した。
「なんで、私なんかのこと好きなんだろ?」
ふいに見た棚の上には10年前に神原くんに貰った天使の玩具は色あせて飾られていた。
その玩具を見ると少し切なくなった。
高校1年生になって再開したのに私のことは覚えていなかった……"始めまして"なんて他人行儀に挨拶をされて少しショックを受けたのを覚えている。
「もっと話したいことは沢山あったのにな……それでも私に告白をしてくれるなんて……嬉しいな…それなのに姫宮さんから卵焼き貰って嬉しそうにするなんて、あれは私じゃなくても嫉妬してるよ!」
私は誰にも言えないことを天使のおもちゃに語りかけていた。
「でも……私は神原くんとどうなりたいのかな…付き合いたいの……かな?」
私は少し付き合ってデートをすることを想像してしまっていた。
「もし、付き合えたら一緒に博物館に行ってみたいな…そのあと、クレープを食べたり、映画を見たり…でも神原くんのとなりは私じゃない…きっと姫宮さんの方がいいよ‥」
天使のおもちゃを見つめながら深いため息をした
「私が女の子なら、神原くんと付き合えたのに‥」
アラサー魔法使いの学生ライフ~30歳になったら本当に魔法が使えるようになったので青春を取り戻します〜 山下 勝也 @akb0048ka
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