第3話 猫にも──以下略。
フーちゃんの首輪を買うついでに冒険者ギルドにいた猫の数だけ首輪を買ってきた。
赤い首輪を残し、アイと言う少女に残りの首輪を渡した。
「いいんですか?」
「いいぞ、金だけはあるからな」
「なるほど……あっ、シンさんは自分の分の首輪は買ったんですか?」
「あー、フーちゃんの……」
「違いますよ。シンさん自身のです」
……この子はなにを言ってんだろう。
「僕と君、初対面だよね?」
「はい」
「結構失礼なこと言うね?」
僕は君のことさっき知ったばかりだぞ。
それともなんだろう、僕って冒険者ですらないこの子までにペットと認知されているのか?
「シンさんに遠慮すると逆に困らせるから、頑張って遠慮なく話すようにって」
「誰が?」
「レビーさんが」
間違っていないがなんだろう……。
文句を言いたくなるのは仕方のないことだよな?
「レビーのことは信用しすぎるといけないよ?」
「あっ、それ言われても信用するなと言われました」
「誰から?」
「レビーさんです」
よし、アイツとはO・H・A・N・A・S・Iの必要があるようだ。
僕をなんだと思っているんだ。
もしかしてだけど、僕って実力以外で信用されてない?
「アイちゃん」
「なんですか」
「僕のことレビーからどう聞いてる?」
少し首を傾げた後アイちゃんはこう言いだした。
「誰よりも信頼できる人物であることは変わりないけど、真面目に相手していたら疲れるから適当に放置する感じでって」
「……それ、君にだけ言った?」
「冒険者の皆さんは知っていると思いますけど」
「アイちゃん」
「なんですか」
「首輪代、払って?」
「器はちっちゃいんですね」
なんだかがっかりした顔をされた。
いや、僕をイラつかせた君がいけないんでしょ。
なんでかな、冒険者ギルドのみんなが敵に見えてくる。
ギルドを見渡せばそれぞれ依頼を探したり、食事を取っている冒険者たちの面々が。
こいつらみんな敵なのか。
なにか弱みでも握っていたずらを──。
「アイちゃん、その、ここにいる奴らの中で誰が知ってる?」
「みんな知ってますよ」
「嘘だろ……」
「というか、冒険者ギルドの入会時点でシンさんの扱いには注意するように言われていたんですよ」
「へ?」
「わたしはレビーさんから偶然聞いただけです。それじゃ!」
「ちょっと待て!」
追いかける気力もない僕はアイちゃんが見えなくなるまで眺めているのが限界だった。
僕はレビーに話があるので受付まで行く。
近くにいた受付嬢の一人にレビーがどこに行ったのか聞く。
「あー……レビーさんならちょっと遠出に出てますよ」
「は? アイツここの看板娘だろ」
「これ、レビーさんから」
一枚のメモ用紙を手渡された。
そこには──。
『ごめんぴ☆』
それだけが書いてあった。
僕は全力でレビーの居場所を探りにかかった。
最弱推理のSランク冒険者【長編】 朝之雨 @fujiriu
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