異世界転生した主人公マルクが、前世の記憶を元に焼肉店を開店し、エルフのお客様に気に入られたり、仲間のエスカと一緒にシカ狩りに出かけるなど、和気あいあいとした雰囲気の中で物語が進んでいきます。
マルクがゴブリンに遭遇した際、一方的に攻撃するのではなく、威嚇するだけに留めたエピソードからは、彼の優しい性格が伺えます。一方、エスカは狩りの腕前も良く、肉の解体も手際よくこなす頼れる存在として描かれています。二人の友情や信頼関係が感じられる、微笑ましいやり取りが印象的でした。
日本の焼肉文化を異世界に持ち込んだユニークな設定や、グルメ要素、冒険、仲間との交流など、様々な魅力的な要素が盛り込まれた作品だと思います。読んでいてほっこりとした気持ちになれる、温かみのある物語です。
焼肉の文化がない世界へ転生し、ブルー・オーシャン戦略よろしく、青年マルクは焼肉屋を開業。そこは現代日本のようにガス等があるわけではないので、焼肉を焼く方法からして異なる世界。物珍しい存在や概念として焼肉・焼肉屋が位置づけられる地で、美食家エルフや凄腕冒険者たちと交流しつつ、店主マルクはどんな経営・冒険を展開していくのだろうか。
序盤から「こんな西洋チックな冒険色溢れる異世界に焼肉屋が出来たのか」という意外性と「自然豊かでワイルドな側面もある異世界なので今まで焼肉屋がなかったのが不思議なくらいだ」という妙なしっくり感を、矛盾なく同居させてくれる世界観(笑)