第9話

説明を終え、サンドル公爵が口を開く


『俄かには信じられんが、その、、、マルク君が嘘を言っていない事は分かる。しかし、ゴブリンが、、』


『そうねぇ、その子達は【ゴブリンアーチャー】と【ゴブリンファイター】だったかしら。【ゴブリンアーチャー】は分かりますが、【ゴブリンファイター】は初めて見るわね。それに、、』


『ああ、セシリーもそう思うか』


『ええ、その子達を見ると、少なくとも普通のゴブリンには見えないわね』


『そうだな。これは、マルク君の恩恵ギフトの力なのかもな』


『それに、私達にも言葉が分かりますし。それに、魔物特有の人に対する敵意が全く感じられないわ』


『そうだな。セシリー、私の言いたい事は分かるな』


『ええ、貴方。この件に関しては、私達以外の者に言うのもダメね。それに、マルク君が、折角自由になったのだから、邪魔をしてはいけないわ』


『特に、マルク君の実家であるレーベン公爵家には、絶対に漏らす事は出来ん』


『そうね、あの家の上二人を見るとね』


おーおー、酷い言われようだ。だが、あのバカ兄二人の事を知ると、そうなっても仕方がない。本当に大丈夫か、少なくとも妹弟には、、、あっ!そうだ!



「あの、お願いがあるのですが、宜しいでしょうか」


『、、、ああ、スマンスマン。マルク君の恩恵ギフトが凄すぎるのでな』


『そうね、流石エリスが認めた子ね♪それで、マルクちゃんのお願いって何かしら?』


「お願いと言うのは、お二方は僕の兄である、フェムやオーマイについてご存じですよね」


『ああ、巷では評判が良いが、、』


『ええ、あの出来損ないの事ね』


「僕が、レーベン家を除名された事で、異母妹弟であるマリーシアとフェールに被害が出るかもしれないので」


『、、、、、成程な。つまり、マルク君は異母妹弟を心配しているのか』


「はい、僕が除名され家を追い出されてしまい、あのバカ兄達が僕にした様に、マリーシアとフェールに同じことをするのではと思っているので。そうなると、二人の母であり、僕の育ての母のメアリー母様も被害を受けてしまうのではと思いまして」


『それで、マルクちゃんのお願いって?』


「はい、もしもその三人に被害が出そうな場合、サンドル公爵家に助力を求めたいのです。マリーシアやフェール、そしてメアリー母様が傷つく事になったら、僕は傷つけた者達を許すことは出来そうにないので」


「マルク、、、」


エリスは、僕を心配しながら手を握ってくる。僕は、前世で何歳まで生きたか分かんないけど、それなりに年齢はいっているはず


それに比べ、マリーシアやフェールは、まだまだ精神的にも幼く、僕にとっては、可愛い妹弟達なので、あのバカ兄二人から守ってあげたいと思うのは当然の事だ


そして、僕の自我が生まれた時から、ずっと母親としての愛情を注いでくれたメアリー母様。もし、この三人に何かあったら、僕は絶対にソイツをユルサナイ



「、、、ルク、、マ、、、、マルク!!」


「うん?エリス、どうかしたの?」


「どうかしたの?じゃないわ。さっきから、マルク怖い顔をしてるわよ」


「えっ、怖い顔って、、そんな顔してた?」


「今は、いつも通りのマルクに戻ったけど、さっきまでのマルクは怖かったわ」


エリスの言葉に続き、サンドル公爵達も同じ感想を漏らす。正直な所、元実家になったレーベン公爵家がどうなろうと構わないけど。マリーシア、フェール、メアリー母様が健やかに暮らせていればね



「そうだな。私としても義理の息子になるマルク君の為なら力を貸そう。勿論、同志としてもな」


サンドル公爵が、力を貸してくれるのであれば心強い


「私も力を貸すわマルクちゃん。それよりも、ア・ナ・タ。同志とは一体何の事かしら?」ゴゴゴ


「いや、、、あの、、それはだな、、、、」


心強い、、、はず、、だよね?


「そっ、、それよりもだ!マルク君、エリス。他に何か頼み事はあるかい」


サンドル公爵は、不味いと思ったのか僕とエリスに聞いてくるが、その瞳から焦りの色が若干見え隠れしている


もしかして、僕の将来も、、、、、いや、考えるのはやめよう


他に頼みたい事か、、、、、僕の場合は、家を追い出された瞬間に、こういった旅になると思っていたから大丈夫だけど、う~ん


周りを見渡して見えるのは、ゴブリン達、、、あっ!そうだ!



「頼み事では無いのですが、このゴブリン達の情報だと、どうやらゴブリンの集落があるみたいです」


「ふむ、ゴブリンの集落か」


「はい、お~い、少し聞きたい事があるけど良いかな?」


「なに?あんちゃん?」


「お腹空いた」


子供ゴブリン二人が、僕の呼びかけによって来る


「聞きたいのは、君達がいた集落の場所を教えて欲しいんだ」


「う~ん、それなら父ちゃんの方が詳しいと思う」


「そうだね。私らよりも、おとんに聞いた方が良いよ。それよりも、お腹空いた」


「そうか」


「じゃあ、お父ちゃんを呼んでくるよ。ほら、行くぞ」


「え~、お腹空いたから動きたくない」


「流石に、肉は出せないけど、これでも食べて」


僕は、魔法鞄マジックバックから、買い込んでおいたクッキーが入っている袋をを二人に渡す


「良いの?あんちゃん」


「うまうま」モグモグ


うん、男の子は申し訳なさそうな感じだが、女の子の方は直ぐに食べ始める



「ほら、君も遠慮せずに食べな」


「うん、ありがとうあんちゃん。じゃあ、とうちゃんを呼んでくるよ。ほら、お前も一緒に行くぞ」


「ふわぁ~い」


子供ゴブリン達は、それぞれの親を呼びに行ってくれる。さて、戻って来るまでの間のんびりと待ちますか

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

~恩恵《ギフト》【雑魚】を授かった転生貴族~ 雑魚モンスターの神として崇められてます @samidare334

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ