第8話

「準備ができたわ」


エリスは、サンドル公爵に渡された魔道具を設置して、通信を開始する。何気に通信用の魔道具を初めて見たので、どんな物なのかとワクワクしている


ゴブリン達の方は、皆力が漲っているらしく、洞窟の奥で力試しをしてくるらしい


「お父様、エリスです」


エリスの呼びかけに、魔道具から映像が出てくる。そこから出てきたのは






死んだ魚の目をしたサンドル公爵、、、、、うん?一体何があったんだ?



『おお、エリスか。どうしたのだ、何か困った事でもあったのか』


「いえ、お父様が定期的に連絡をと言われていましたので、連絡しただけですわ」


『そうか』


「それよりも、お父様。死んだ魚の様な目をして、何かありましたの」


『そ、、それは』


『エリスちゃん、それはね』


「あら?お母様も一緒でしたの」


『酷いわ、エリスちゃん。折角、エリスちゃんの為に母は頑張ったのに』ヨヨヨ


「それに関しては感謝していますわ」


『それよりも、聞いてよエリスちゃん。この人ったら、私達という妻が居るのに、使用人メイドに色目を使ったのよ』


「お父様、、、」


『ちっ、、違うぞ!!エリス!セシリーも!あれは、屋敷に仕えている使用人メイドのご家族が病魔に侵されたと話を聞いて相談に乗っていただけだ』


『それを良い事に、あの手この手を使って、、、致してしまおうと考えていたのですね』


「お父様、、、サイテーですわ」


『まっ、、待て、エリス!そもそもだ。私が、セシリー含む妻達三人を裏切れると思うか』


「、、、、、それも、そうですわね」


『そうだろう。それに、もしその様な事になったら、、、、、』ガクブル



家族の暖かい会話なのかな?、、、そんな会話の中に入っていく勇気は、僕にはないや



『それよりも、エリスちゃん。ちゃんと、マルクちゃんを捕まえられたの?』


「勿論ですわ、お母様」



いや、捕まえったって、言い方ぁ


『ふふっ、それなら良かったわ』


「ほら、マルクもこっちに来て」


漸く、家族の会話も落ち着いたのか、僕を呼ぶエリス



「分かったよ」


『あら~、マルクちゃん。久しぶりね。また、良い男になったわね』


「お久しぶりです。セシリー様も、お変わりなく綺麗なままで」


『ダメよ、そんな他人行儀では。私の事は、セシリーお義母様って呼んで良いのに』


「そうよ、マルク!私達はもう、夫婦なのだから」


ふわっ!!婚約者から元婚約者となり、そこからいきなり飛んで夫婦って


「いやいや、エリス。流石に僕達はまだ夫婦って訳じゃ」


「えっ、違うの」


「まだ、契りを交わしてないでしょ」


『それなら、安心してマルクちゃん。エリス、魔法鞄マジックバックに契りの誓いが入っているはずよ』


「直ぐに確認しますわ!!」


えっ、えっ、、どうして、そうなる。この場で、男性であるサンドル公爵に、助けを求める視線を向ける


【サンドル公爵、大事な娘さんを、レーベン家から除名されてしまった僕に預けて良いのですか?】


【スマン、マルク君。この件に関しては、私にはどうする事も出来ん。それに、私としては嬉しいのだよ】


【嬉しいとは?それに、僕は住む場所も無いので、こういった野宿ばかりさせてしまうので申し訳ないのですが】


【まあ、私も多少思うところはあるが、、、マルク君は、私の同志になるので。逆にこちらが申し訳ないと思う】


【同志って、、、あっ!】察し


【分かってくれるか、マルク君】


【あ~、何となくですが。サンドル公爵も、大変なのですね】


【あ~はっは!私の場合は、セシリー含め三人だが、マルク君の場合は、もっと増えそうだな】


【もしそうなったら、相談させてもらいます】


【私が力になれる事は限られるが、話だけでも聞こう】


【ありがとう御座います】


サンドル公爵と、友情?なのかな。それを育んでいるが



「ありましたわ、お母様♪」


エリスが、契りの誓いを見つけ戻って来る


「さっ、マルク。名前を入れましょ。私はもう書いたわ」


エリスに手渡され、逃げ場がなくなる。まあ、エリスは可愛いから役得だとは思うんだけどね


「分かった分かった」


スラスラと、契りの誓いに名前を書く。すると、契りの誓いの用紙が燃えて光となり、僕とエリスを包む



『これで、マルクちゃんも私達の家族になったわね♪ほら、早くセシリーお義母様って呼んで欲しいわ♪』


ぐっ、別に呼ぶのは構わないが、やはりまだ少しだけ、抵抗感がある


「セ、、セシリーお義母様、、、これで、宜しいですか」


『ふふっ、良いわ~。凄く良い』


やっぱり恥ずかしい



その後も、些細な会話をしている時



「あんちゃん、お腹空いた~」


「アタシも~」


ゴブリン夫婦の子供達が、お腹が空いたと僕達の所へ来る



『エリス、その二人の子供達は?それに、肌が人の者ではない様な?』


「それは、、、その、、」


サンドル公爵の質問に、どう答えた物かと僕を見るエリス




、、、、、こうなってしまったら、隠しておく訳にもいかないので、素直に話してしまうか



「その事について、僕から説明します」


『ふむ、説明を頼む』


「はい」



そして、今日あった出来事を、順番に説明していく



盗賊に襲われ、その時に僕の恩恵ギフトである【雑魚】を試した事。そして、その後に、ゴブリンだったこの子達と会話が出来た事



最後に、ゴブリンと友好を結べた事によって、ゴブリン達を進化させられる様になった事



最初の、盗賊の説明の時は、サンドル公爵とセシリーお義母様は、僕の恩恵ギフトの力について、凄いと言ってくれていたが、、、


その後の、えっ?ゴブリンと会話が出来る?


しかも、ゴブリンと友好???更に、ゴブリンを進化させられる?何それ?



僕の説明を聞き、放心状態のサンドル公爵とセシリーお義母様。まあ、そうなるよね。僕も、未だにこの恩恵ギフトに関しては謎ばかりなので、丁度いいからお二人に相談してみよう

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