ある蜥蜴の境遇と心境の変化を描いた、童話風のお話です。蜥蜴自身は卑屈ではあるものの、譲れないものを内側に秘めている事が伝わってきます。迷い込んだ一匹の蝶との出会いが、そんな蜥蜴の心に不思議な波紋を広げて行く…そんなお話です。大本となっている「グルンステイン物語」は、先に読了していると”蜥蜴”が明かしきれなかった本音を感じ取る事が出来ますし、後に読んでも「グルンステイン物語」の骨子を読み取れると思います。
「グルンステイン物語」というお話と繋がりがあるお話で、ある蜥蜴を主人公とした、童話のような雰囲気のお話です。序盤の暗く陰鬱な空気から、一羽の傷付いた蝶と出会う事で変化が起きる蜥蜴の気持ちがとても丁寧に描かれています。読後にとてもあたたかい気持ちになれるお話だと思います。元のお話を知っていると、それぞれの登場人物と動物の言動がリンクしているのがわかってより深く読み込めると思うので、是非そちらも併せて読んでみて欲しいです。