大風呂敷ひろげて悪かったね

山谷麻也

最近選挙事情

 ◆様変わりする選挙

 最近の選挙は以前とは様相を異にしてきた。

 記憶に新しいのは、先の都知事選だ。五六人が立候補し、なかには都知事ひとりのポストに対して、二四人を立てた党もあった。PR効果は絶大である。

 また、自身の「ほぼ裸」のポスターを掲示した女性候補がいたり、飼い犬のポスターを貼りまくって、「掲示場のジャック」をはかった党もあったとか。

 こうなったら、お祭り騒ぎとしか言いようがない。 


 ◆それどころじゃないですよ

 衆院選は、その結果が筆者の予想を大きく裏切った。


 衆院選の最中に、日本被団協(日本原水爆被爆者団体協議会)へのノーベル平和賞授賞の発表があった。

 日本における貧富の差の拡大や政治腐敗などは、もちろん見過ごすことができない。それ以上に、ウクライナやアラブ情勢などから目が離せなくなっていたはずだ。


「核を使う」

 と公言してはばからなかった。

 指導者たちの言動を見ていれば、まんざら脅しだけではないことは、容易に理解できた。被爆した方々や原水爆禁止運動の関係者は、どれほど憂慮していたことだろう。 


 ◆コップの中の嵐

 ノーベル賞委員会の決定はまことに時宜を得たものであった。平和を願う世界の人々が拍手喝さいを送った。

(これで流れが変わるな)

 選挙の争点が身近な物価高対策などから世界戦略に広がる、と筆者は思った。


 ところが、潮目はほとんど変わらなかった。与野党逆転はしたものの、それはコップの中の嵐でしかなかったようだ。 


 ◆危ういネット社会

 物議をかもしている兵庫県知事選。都知事選の延長線上、悪乗りもいいところだ。

 多種多様な人物が介在していたようだ。「草刈り場」とされた兵庫県民は、さぞかし憤慨していることだろう。


 どの政党・候補者もネットの活用が当落を左右する、と最近の選挙結果を総括している。ますますネットからの発信が増えることは、間違いない。

 庶民としては、真偽を見分ける眼力が問われる。どうせなら、祭りは盛り上がるに越したことはない。しかし、内外の選挙を見るにつけ、フェイクニュースに踊らされ、祭りの参加者が軽挙妄動に走らないか、心配の種は尽きない。

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