トイレの怪

第8話 聴き取り調査②教員・篠川春

「3年1組担任の篠川(しのかわ)です。

この学校で1年生が行方不明になったことの件ですよね？

はい、最後にその子と一緒に居た藤原秀明くんはうちのクラスの生徒です。」

「秀明くんは大人しく、クラスでも目立たない子です。勉強はちょっと苦手のようですが、問題を起こしたことは一度もありません。やんちゃ盛りの子供40人をひとりで見るのは、大変という言葉では全く足りませんから、秀明くんみたいに大人しいだけでかなり助かりますよ、ふふ。

話が逸れてすみません。秀明くんのことですね。秀明くん、クラスでは交友関係もあまり無いようです。弟の海斗くんと一緒に登下校していたのは知ってますが、行方不明になった子との関わりまでは知りませんでした。」

「は？トイレですか？ああ、秀明くんがその子と居た場所でしたっけ？あそこのトイレは低学年専用で、3・4年生の中学年は使いません。その子と一緒に居たのが同じ1年生の海斗くんならまだしも、3年生の秀明くんが一緒に居た理由は私にもよく分かりません。大人が使うこと？まさか(笑)児童と鉢合わせでもしたら嫌ですし、第一、児童用のトイレを教員が使用するなんて問題ですよ。授業参観の時に保護者が使うのは、まぁ、あるとは思いますが。」

「トイレットペーパーが盗まれたこと？

そんなの知りません。この学校に来て4年目ですが、聞いたことありませんね。昔のことを知りたいのでしたら、用務員に訊いてはどうですか？ここにはかなり長く居るみたいですし。話してもらえるかはわからないですけど。その、なんていうか、個性的な人なんで(苦笑).....もういいですか？明日の授業の準備がありますので。」