第24話二年生
「ツモ、5200」
「ロン、3900」
「ツモ、8000」
「やあやあ、君たち。元気かね?」
俺たちが麻雀を打っていると、浮世離れした明らかに場違いな人が入ってきた。
「御堂君、久しぶりだね。どうしたんだい?」
「我が永遠のライバル風間清人が麻雀部に入ったと聞きましてね。やってきた次第です」
俺? 永遠のライバルとか言われてるけど、御堂っていう人は知らないんだが。
「坊ちゃん、風間君が戸惑ってますって……」
御堂という人の後ろに中世的で長髪の男性がやってきた。
男子の制服を着ていなかったら、女性と見間違えるほどだ。
御堂という人を坊ちゃんと呼んでいるのも気になる。
「何だい? 君たち知り合いだったのか?」
「いえ……」
失礼になるかもしれないが、本当に知らない。
ここは正直に言ってみた。
「そうか。彼は御堂君、二年生だ。と、速水君。同じく二年生だ。彼らは幽霊部い……じゃなかった、レアキャラなんだ。こちらは風間君。一年生だ」
「御堂先輩、速水先輩、初めまして、風間です。よろしくお願いします」
「よろしく頼むよ、我が永遠のライバル」
「急に知らない人から永遠のライバルなんて言われたら戸惑いますよ、坊ちゃん」
「そうか、俊矢? 我らが永遠のライバルだということには変わりはないだろう」
何故俺が御堂先輩からライバル視されているのかわからない。
それに圧倒的な上流階級オーラを放っている御堂先輩が麻雀部に在籍しているのかも気になる。
「ごめんね、風間君。坊ちゃんは変な人だけど、悪い人じゃないんだ」
「はぁ……」
「聞こえているぞ、俊矢」
「すいません、坊ちゃん。でも、事実だし」
「麻雀部は僕、町田、御堂君、速水君の四人だったんだ。そして今年田所君が入部してくれて正式に部に昇格できた。部として認められるには五人必要だからね」
「そうだったんですね」
「麻雀卓が使わせてもらえないようになってから僕たちは来なくなったんだ。麻雀部なのに麻雀が打てないので来る必要がないと判断したんだ」
「はは、手厳しいね……御堂君……」
「坊ちゃん、失礼ですって……」
「事実だろ?」
御堂先輩は中々変わった人みたいだ。
上流階級で育ってきたので、人とは違う価値観で生きているみたいだ。
「御堂先輩、速水先輩、お久しぶりです」
「む? 君は誰だったかな?」
「田所君ですよ、一年の」
「そうか。よろしく頼む、田中君」
「田所君ですって……」
御堂先輩は全然人に興味がないみたいだ。
それなのに俺のことを永遠のライバルと呼んでいるのが気になる。
「御堂、今さら何のようだ? 全然部に顔を出さないくせに」
「む? どなたですかな? 僕は永遠のライバルが麻雀部に入部したから来たまでです。僕と唯一対等な存在であるね」
「町田先輩ですよ、三年生で副部長の。失礼ですって、坊ちゃん」
「相変わらず話が通じない奴だな」
確かに全然話が噛み合っていない。
お世話役? かどうかわからないけど、速水先輩も大変そうだな。
「それよりどうだい? 我が永遠のライバル。僕と一局打つというのは?」
「構いませんけど」
別に断る理由もない。
勝負を受けてもいいだろう。
「坊ちゃん、風間君は忙しいんですって……やめときましょ?」
「僕は構いませんが」
「我が永遠のライバルもこう言っている。俊矢、お前も同卓しろ」
速水先輩は何故か俺と御堂先輩が打つことを止めさせたいように見える。
なにか理由でもあるのだろうか?
「もちろんそうさせてもらいますけど。坊ちゃん一人だと不安だし。でも、本当は打たない方がいいと思うけどな」
「何をわけの分からないことを言っている、俊矢。永遠のライバルと打たないわけにはいかないだろう」
俺は二人の様子の対比に違和感を覚えた。
俺と打ちたい御堂先輩と、打たせたくない速水先輩。
何故か俺をライバル視する御堂先輩。
不気味としか言いようがない。
まあ、それでも勝つだけだが。
かつて天才麻雀少年と呼ばれた男、麻雀に絶望し辞めていたが復活し大会で無双する 新条優里 @yuri1112
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