学生作家志望

後悔

もうすぐ、冬。


季節の一番最後。


朝がきたときに震えて、こたつでは温まる。


学校まで向かう長い道のりでは、たばこを吸う人たちであふれかえる。言葉を吐けば、白い息が出て、顔の右側に流れて見えなくなった。


春も夏もため息をついても、逃げていくような感覚はなかったのに、秋と冬は僕からすべて消えていくようだ。


震えるような日々だった。何かを手にしてもすぐに離れていくそれ。掴もうと必死になっても転んでばかり。


言葉を吐いて、息を吐いて、これを当たり前にやってきた、それが生きることだから。でもそれを、やっと実感するのは気付かせてくれるのが最後の季節。


何がよくて何が良いのか、僕の選択はあっているのか。なんであの時こっちを選ばなかったのか、後悔をし記憶を巡らせ、ため息を吐く。


温かさをほんの少しだけ感じて、掴もうとした手をすり抜けて消えていった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

学生作家志望 @kokoa555

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画